コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.47 )
- 日時: 2013/08/15 15:35
- 名前: 和泉 (ID: vMazaPQ6)
♯20 「おまけ、学級委員の本性」
藤沢ナツがクラスメイトの女子数人を怒鳴り付けて立ち去ったあとのおはなし。
「うわー、ほんと。
藤沢って黙ってたらかっこいいのにね」
「高校生にもなって兄妹優先とか。ないわー」
「ただのシスコンじゃん?
血も繋がってないんでしょ、なんかやだねー」
好き勝手騒ぎながら歩く数人の女子生徒。
そのまえに、すっと一人の少女が立ちはだかった。
肩下までのきれいな黒髪に、切れ長の目。
フレームのない眼鏡をかけて、イチコーの制服を来ていた。
「楽しかったですか?」
そんな彼女はふわりと微笑んで、女生徒たちに尋ねた。
「え、あんたがなんでここに……?」
「なんなのよ、気持ち悪い!!」
しかし彼女はにっこりと笑いながら、女生徒たちに近づく。
「楽しかったですか?
人の弱いところをあげつらって、まだ中学生の女の子にあんな顔させて。
ずいぶんと良い性格をしていらっしゃるんですね」
「なんなのよ!見てたの!?あんた!!」
「ええ、見ていました。
あなたたちの声はキンキンうるさいので、嫌でも耳に入ります」
女生徒たちがまた叫ぼうとするのを遮って、
彼女は自分のスクールバックを地面に叩きつけた。
微笑みは、崩さぬまま。
「藤沢くんが養子だろうがなんだろうが、あなたがたに迷惑をかけましたか。
あんなに彼が必死で制止しようとする声は耳に入りませんでしたか。
その耳はなんのためについてるんですかいらないなら削ぎおとしてさしあげましょうか?」
女生徒たちはびくりと肩を震わせる。
目の前にいる、普段は地味で静かな少女に、恐怖を感じていた。
こいつは、やばい。
そんな女生徒の心情を知ってか知らずか、
カツン、カツンとローファーを響かせて近づいた彼女は、
女生徒のひとりの頬をするりと撫でた。
「私ね、許せないんです。
藤沢家に手を出すやつ。
心の底から憎いんです。
だから、決めてるんです」
藤沢家の誰かを泣かせたやつは、私が徹底的に叩き潰すって。
ふわりと微笑んだ彼女は、頬から手をゆっくりと首筋に這わせた。
「首、絞めてさしあげましょうか?
女子の力でも、ここを押さえれば簡単に死ねますよ?」
女生徒は涙目でぶんぶんと首を振る。
それを見て、彼女は首から手を離した。
「二度と、藤沢家に近寄るな。
次はこんなものじゃすませない」
そう無表情で言い残し、彼女、佐々木杏奈は立ち去った。
佐々木杏奈が藤沢ナツを見つけるのは、それから数分後のこと。