コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.61 )
- 日時: 2013/08/16 22:22
- 名前: 和泉 (ID: YsvlUcO/)
♯23 「同級生と長女とデート(らしきもの) 2」
さて、そんなこんなで待ちに待った8月10日。
藤沢さんとのデートですよ、デート!!
ひとりで駅でテンションあがってにやにやしていたら、
通りすがりの親子にガン見されました。
「おかーさん、変な人がいるー」
「しっ。見ちゃダメよ!」
いいもん。
俺泣かないもん。
若干いじけながら空を眺めていると、
視界の端に藤沢さんが走ってくるのをとらえた。
こんなに遠くからでも藤沢さんを見つけ出せてしまう俺は、
だいぶん重症だ。
藤沢さん病だ。
苦笑いしながら手を振ると、藤沢さんもちょっと照れたような仏頂面で小さく振りかえしてくれた。
なんなんだろう、あのかわいい子は!!
俺をキュン死にさせる気ですか!?
ひとり心の中で身もだえしていると。
「オトヤ兄ちゃん!!オトヤ兄ちゃん!!」
見てはいけないものを見てしまった。
藤沢さんの後ろに。
「…………なんで、いるの」
ねえ藤沢さん。
二人で出掛けるんじゃなかったの。
「オトヤくん!!オトヤくん!!」
そう、藤沢さんの後ろにいたのは、ヒロくんとアヤちゃん。
藤沢さんの妹と弟だった。可愛らしい男女の双子。
しかし、その双子が俺に駆け寄ってくるのを見た瞬間、俺は叫んだ。
「ノォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!!!」
藤沢さんと二人でお出掛けだとか、喜んでいた自分を殴りたくなった。
二人じゃねえじゃん!!
しかも四人じゃん!!
五歳児じゃん!!!!!
「何叫んでんのよ。近所迷惑」
しかし藤沢さんの冷たい一言に撃沈。
いいもん、俺負けないもん。
うつむきながら藤沢さんに抗議してみる。
「人間、叫ばなきゃいけないときもあるんだよ」
「それは絶対に今じゃないけどね。
あ、そうだ。ごめん。
ヒロとアヤも連れてきたの。
二人も行きたいってごねたから」
双子の頭をくしゃりと撫でた、藤沢さんの姿が嫌に大人びていて、
胸が高鳴った。
しかし。
「だってナツ兄が、リカ姉につく悪い虫は、お前らで追い払うんだぞって!!」
「二人でお出掛けだとか、させちゃだめだからなって!!」
双子の言葉に口が開く。
なに五歳児に教えてるんですか、ナツさん。
俺は深くため息をついた。
もうなんでもいいや。
とりあえず。
「ナツさんの誕生日プレゼント、選びにいきますか」