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Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.92 )
日時: 2013/08/24 23:01
名前: 和泉 (ID: DrxGkANi)  


♯35 「同級生と長女とクラス委員」


「かわいー!!」

「何歳!!?」

「五歳です」

「うちの弟になる!?」

「あ、ほらクッキーあげる!!食べて食べて」

「ありがとう、おねーさん」

藤沢さんの忘れ物を届けに、クラスにやってきた天使(双子)に
俺、日下部音弥を含むクラス全員が悩殺された。

みんな双子の気を引こうと必死である。

そんなクラスメイトから離れて、

「へえ、そうなの。
うん、うん、わかった。
大丈夫、無事よ。今はクラスでお菓子もらってる。
大人しくしてるから、このままいさせて帰り一緒に連れて帰るわ」

教室のすみ。
校則違反のケータイで、藤沢さんはナツさんに電話をしていた。
違反じゃん、もってていいの?と以前聞いたとき、
お母さんが何かあったとき、すぐに連絡がとれるように許可をもらったと彼女はいった。

何か起きる可能性があるんだね、そう聞くことは俺にはできなかった。

ぼんやりと話す藤沢さんを眺めていると、

「音弥兄ちゃん、音弥兄ちゃん」

つんつん、と服の裾を引っ張られる。
振り向くと片手にクッキーを持ち、にこにこ笑うアヤちゃんの姿が。

「どしたのー?」

聞きながら頭をなでる。
ああ、もうかわいいなぁ。
ちっちゃい子ってどうしてこんなにかわいいんだろ。破顔しながらアヤちゃんの頭を撫でていると、アヤちゃんは一言。

「えへへ。音弥兄ちゃんにね、また会いたいなぁって思ってたの。
会えて嬉しい!!」

やばい、今ときめいたぞ。

ちまちまと歩み寄ってきたアヤちゃんは、ぎゅうっと俺の足にしがみついた。

「ふふっ」

嬉しそうに笑うアヤちゃん。
どうしよう、かわいすぎるんですがこの子。

心臓がノックアウト寸前を訴えだしたその時。

ビ————————ッッッ!!!!

けたたましい音がなった。
耳がいたくなってとっさにふさぐと、駆け寄ってきた藤沢さんが

「こら、ヒロ!!」

アヤちゃんの近くにいたヒロくんをばしっとはたいた。

何かと思ってみてみると、ヒロくんがトトロの形の防犯ブザーを鳴らしている。

藤沢さんにはたかれたヒロくんは、むっと口を尖らせて、一言。

「だってナツ兄が言ってたもん!!
変な人が怖かったらこれを鳴らせって!!」

ちょっとまて。
変な人ってなんだ変な人って。
吹き出したのは、後ろにいたクラス委員の三好ユキだ。
三好が吹き出したことで、クラスにもくすくす笑いが広がる。

俺=変な人ですかヒロくん。

「あー、ロリコンね」

後ろに立っている三好が笑いながら言う。
三好、お前五歳児の前でしれっと言うなそんな言葉!!

「だって、顔があやしかったんだもの」

そしてヒロくんはヒロくんでこんな感じ、と頬を下に引っ張って見せた。

わかってますよ、アヤちゃんにでれでれしてましたよごめんなさいね!!

もう三好やクラスメイトの爆笑は最高潮だ。

そのノリに困ったような顔をしながら、藤沢さんは双子をなでて三好に向き直った。

「ごめん、この子達ここにいさせてもいい?
大人しい子達だから、迷惑はかけないわ。
もし迷惑をかけるようなら連れて帰るし。」

そんな藤沢さんに、三好はひらひらと手を振る。

「いいよ、気ぃ使わなくて。
むしろ癒しをありがとう。
ただロリコンには気を付けてね」

三好が親指をたててぐいっとこっちを示す。
やめてくれ。

「音弥兄ちゃん、ロリコンってなーに?」

アヤちゃんもそんなキラキラした目でそんなこと聞かないで。

今にも泣きそうな俺に、藤沢さんは一言。

「日下部のことよ。気にしないでいいわ」

よし、決めた。
俺泣こう。