コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼女の前世はシンデレラ ( No.14 )
- 日時: 2013/08/15 23:36
- 名前: 冬の雫 (ID: fQORg6cj)
■
俺は先生からの呼び出しをくらって、職員室まで行って帰ってきた。
すると親友の律が、「淵菜が巳鞠のこと狙ってる」というウワサを言い出したんだ。
俺はその“シンデレラカップル”が付き合うことに信じられなくて、耳を疑った。
すると───
「あの、ここに香月 木ノ葉くんいませんか…?」
そんな声───巳鞠 和歌の声が聞こえて、俺は更に耳を疑った。
■二話■シンデレラの誘い
「………ん?」
思考回路が一瞬停止した。
俺のちょっと前には学校一美人で有名なあの巳鞠 和歌が居て、俺の名前を呼んでいる。
「………おい木ノ葉」
俺がただただその様子を見つめていると、律が低めの声でそう喋りかけた。
「……行けよ。教室中フリーズしちゃってるぞ」
……あ、ホントだ。
見れば、教室にいる生徒たちはみんな、出入り口の方にいる巳鞠に釘付けになっている。(特に男子)
「香月さ……」
「俺だよ、香月 木ノ葉は」
「……えっ」
なんで『えっ』?
「…あぁ、やっぱり…!わたしの目に狂いはなかったんですね…!」
「……何言ってんの?お前」
俺が呆れたように言うと、大人しめの巳鞠は下を向いて頬を赤く染めた。
…?ホントなに?こいつ。
「ごめんなさい、少しあなたに用事があるんです。…いいですか?」
巳鞠は控えめにそう言って、下から上目遣いで俺を見た。
………やっぱり、学校一美人と唄われるだけはある。かわいい。
「……わかったよ」
「!ホントですか!」
そんなかわいいお願いに勝てるわけもなく───俺は、渋々そのお願いを引き受けた。
目の前には、優しく笑って喜ぶ巳鞠がいる。
「…では、いきましょう」
「え、どこに」
「屋上」
屋上っ?
屋上といえば…二人きり!?
ヤダヤダそんなの聞いてない!
「ちょっ…、屋上はちょっとマズイかと……」
「どうして?」
「だってその…要は…二人きり……」
「大丈夫です」
俺がごにょごにょと小さく言っていると、巳鞠がキッパリとそう言って屋上へと足を進めた。
……さよなら、モテなかった俺。
■◆■
屋上につくと、巳鞠が「気持ちいー」空を見上げた。
色素の薄く腰まである巳鞠の髪が、さらさらと風になびく。
「…で、用ってのは?」
「ああ、えーとですね」
巳鞠は俺の言葉に気付いて、少しだけ息を吐いて言った。
───少しの緊張感が、俺と巳鞠の間を流れる。
俺はいざとなると結構緊張していて、ゴクリと喉を鳴らした。
巳鞠は───ゆっくりと口を開いた。
「……実は、ですね。
木ノ葉くんは、今世も前世も わたしの王子様なんです」
………はい?