コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 彼女の前世はシンデレラ【イラストあり】 ( No.212 )
日時: 2013/09/29 19:44
名前: 冬の雫 (ID: mznU1Olg)

※こっからシリアス路線はなるべく行かないつもりでいきます

では、どうぞ(*´∀`*)
(今気付いたけどまだ13話なんだコレ……。)


■十三話■カラーレスブルー


「お…おはようございます」
「おはよう」


前世事件(?)の翌日。
和歌と木ノ葉は昇降口でばったりと会い、何故か気まずそうに、
初対面のように挨拶をしていた。

朝はやはり眠たいのか、和歌は言葉を紡いだ後、小さくアクビをする。
木ノ葉もアクビが移ったようで同じようにアクビをすると、和歌と目が合って、二人でふにゃりと気の抜けたように笑った。


「……なぁ、俺らって付き合ってるんだよな」


不意に、木ノ葉の口から確認するようにそう紡がれる。
和歌は目を丸くして、驚いたように木ノ葉を見た。

「えっ は、はい…」
「じゃあ、はい」
「え……」

自然に差し出された手に、和歌は固まる。
木ノ葉は首を傾げて、「どうしたんだよ」と和歌を見た。

「これって……」
「握手」
「……!!」

平気でそんなことを言う木ノ葉に、和歌は「なんで握手なんですか…!?」と慌てる。

木ノ葉はきょとんとして、手を伸ばしたまま言った。

「まァ、改めてよろしく、ってこと。よくするじゃん」
「(……よくしませんけど…)……は、はぁ…」

和歌が曖昧に頷くと、木ノ葉は「ホラ、」と促して、迷う和歌の手を取った。

「……っ!!」
「よっし、じゃあ またな」

途端に赤くなる和歌に気付かずに木ノ葉はパッと手を離すと、そのまま昇降口を後にした。


「………ぅーー……」


残された和歌は一人、顔を赤くしたまま、悩ましそうに声を上げたのだった。


■◆■


「おはよ。今日もみまりんは可愛かったか!?」


木ノ葉が教室に着いて自分の机に鞄を置くなり、それに気付いた律が、興味しんしんにそう訊いてきた。

木ノ葉は「は?」と変なものを見るように顔を顰める。

「みまりん!可愛いかったのかって」
「みまりんって誰…?」
「巳鞠 和歌のコトだよ!巳鞠ファンは、大体が巳鞠のことをみまりんって呼んでるぜ。そんなのも知らねぇのかよ、みまりんの彼氏のクセに」
「うるせ」

木ノ葉は口を尖らせてそう言って、「可愛かったよ、巳鞠」とあどけなく笑った。

その笑顔に───律は、面食らったようにフリーズする。

「なんで固まんだよ」
「え だって……、…え?」
「問いを問いで返すなっ」

律はまだ状況が飲み込めないように、目を丸くしたまま木ノ葉をポカンと見る。

次に律が口を開こうとした時には担任が入ってきて、「HR始めるぞー」という声で遮られてしまった。

「…………」
「律、ぼけっとしてないで早く座れっつの」
「……あ、うん…」

未だ反応の鈍い律に木ノ葉は首を傾げながら、自分の席に座った。

律はその斜め後ろの席なので、腑に落ちないような顔をしたまま、席に戻る。


HR中ウトウトとなっている木ノ葉を見ながら、律はひっそりと心の中で呟いた。


(木ノ葉のあんな幸せそうな顔、初めて見た)


それは、小学校からの幼馴染の律ですら見たことのない、木ノ葉の別のカオだった。




-カラーレスブルー 透明-