コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼女の前世はシンデレラ【イラストあり】 ( No.220 )
- 日時: 2013/10/05 14:01
- 名前: 冬の雫 (ID: mznU1Olg)
忘れ去られていた、木ノ葉の親友、律のターンです( ´ ▽ ` )
■十四話■律と仁美
開放感のチャイムが鳴った。
途端、パタパタどころではない足音、つまりドタドタと騒ぐ音が校内のあちらこちらから聞こえ、いつも通りだな、と思う。
そして、俺の近くの席で女子がキャッキャウフフと騒ぐ声も聞こえて───春だな、と思う。
なんて素晴らしい。
女子がいることで、俺の高校生活はとてもエンジョイなものになっている。
そう、まさに、青い春…… 青 春 だ。
フッ…この時を待っていた。
中学とは言わず小学生時代から、この女だらけの学園ストーリーを……───
「なーに一人で笑ってんのよ、律」
ごすっ、と鈍い音がした。
同時に頭部に激痛。
何事かと伏せていた顔を上げると、そこにいたのは、幼なじみの宇野 仁美だった。
昔と変わらず、その澄んだ瞳からは食いかかるような威圧が溢れている。
「おまっ…ナニ人の頭叩いてくれてんだ!しかも国語辞典で!いてーんだぞ国語辞典のカド!!」
「ピーピーうるっさいわね!そんなの言うんなら女子のスカート凝視しないでよ!」
「してねーよ!つかお前には関係ねぇだろっ」
「でもあんたは女子の敵なのよスケベ!!」
「スケベじゃねーしっ!!」
だんだんエスカレートしていく言い合いに、ハァハァと息切れする俺と仁美。
仁美は俺より一足先に息を整えて、両サイドに結ぶ、俗に言うゆるふわの二つ結びの髪を靡かせながら空気を吸い込んだ。
「昔っからあんたは他の女子しか見てないじゃん!早く気付いてよ、バーカ!!」
大きな声でそう言うと、「はっ?」と呆れたように声を出す俺と 驚く他の生徒らを残して、仁美は教室から出て行った…───
「おいおい律!喧嘩でもしたのか?」
途端に他の男子が、仁美の去った跡を見つめる俺に集まってくる。
もちろんその中に、大親友の木ノ葉の姿はない。
それは、学校一美人の彼女と居るから。
「喧嘩なんてしてねぇよ。…多分」
「ほんとかぁ?それにしてもさ、お前しょっちゅう仁美と言い合うよな。そんなことしてると、他の奴らに嫌われるぞ」
「はァ?なんで」
「あいつ結構男子に人気があるからなぁ」
「ふーん……って はァ!!??」
人気がある!?仁美が!?あのやさぐれ女が!?
「そんなバナナ!!」
腐れ縁でずっと一緒に居たけど、そんなの初耳だぞ!?
「まぁあの巳鞠 和歌には負けるけどな。このクラスではダントツ人気だ」
「ウソだ……。」
「ホントだって。しかもオレから見るに、仁美はお前のことが好きと見た」
「……はっ?」
意味わかんねぇぞこいつ。頭大丈夫か。
「そんな不信そうな目で見るなってー。まァこっから先は俺の口からは言えねぇからな。本人にでも聞きやがれっ」
そいつはそう言うと、次には何も無かったかのように他の男子たちとどこかへ行ってしまった。
残された俺は、ぽかんと口を開けてその跡を見つめる。
「なんだよ、アイツ……」
そんな声も、昼休みによって浮かれたヤツらの騒ぎ声で掻き消されていってしまった。