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Re: †KEY HUNTER† ( No.2 )
日時: 2013/08/20 11:40
名前: 本間あるる ◆kFPwraB4aw (ID: Ee54ZFC1)
参照: http://novel.fc2.com/novel.php?mode


†【episode1 見慣れた町】


本日、五月晴れ。
青い空に白い雲。清々しいほどの気候だ。
さわさわと木々が揺れ、こどもの日の象徴ともいえる鯉のぼりが呑気そうにはためいている。

「うーん……。ここが今回のターゲットの住む町、ねえ」

一本の木の枝に、一人の少女が立っていた。
ここ、あおぞら町を一望できる丘の上に、どんと構えている立派な松の木。
少女は、高い位置で二つにくくった髪を風になびかせながら、少し不安そうな表情を浮かべる。それから、太い木の枝に仁王立ちしたまま、眼下に広がる町を眺めた。

「ま、アレよね、うん。なにごとも、成せば成る! by.師匠!」

ガッツで自分を奮い立たせると、少女はもう一度、これからお世話になる町並みを見渡した。
平和そうに、今日も一日が始まろうとしている——。

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「ちょっと! ちょっとちょっと待ってくださいって理事長!!」

冗談じゃねえよと言わんばかりに霧村春樹(きりむら はるき)は奮起していた。

「なんつーか、俺、全くもって関係ないんすけど!!」
「関係ないんすけど、じゃありませんよ、霧村君。貴方がカンニングしたというのは、紛れもない真実です」

明らかに疑いのまなざしで春樹を見やる理事長。気怠だるそうに、ため息なんかついて春樹をうながす。

「そうでしょう? 霧村君」
「その紛れもない真実に、俺は全くもって記憶がないんですけどね?!」
「犯人は誰でもそう言います。全く……まあ、今回は大目に見てあげますけどね。次はないと思って下さいよ」
「だあから言ってるでしょーがって! 俺はカンニングなんかあ……!」


——バタン。

結局、必死の反乱虚しく、カンニング犯扱いされたまま、春樹は理事長室を後にしたのだった。