コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: †KEY HUNTER† ( No.3 )
- 日時: 2013/08/20 11:41
- 名前: 本間あるる ◆kFPwraB4aw (ID: Ee54ZFC1)
- 参照: http://novel.fc2.com/novel.php?mode
「ってなあー。これ、俺のこと嫉妬した誰かの陰謀だろーよおー。恨むぞおー、マジで」
悪態をつきながら廊下を歩いている春樹の隣で、制服に身を包んだ少年がくすりと笑う。
「なに笑ってんだよ」
「いや、別に……くくくっ」
「笑ってんだろ、それ!」
春樹より幾分か背の低い彼は、見た目からか、随分と華奢な印象を受ける。
だがしかし、そんな風体をした彼は、高校一年にして生徒会長に立候補し見事当選というハイスペック成績優秀者であり、春樹の初等部からの親友でもある。名前を湊川 朔(みなとがわ さく)と言った。
名前からしてみても外見からしてみても女に見えないこともないが、一応言っておく。
彼は「男」である。
「いやだって、春樹がおかしな事を言うもんだから……。お前なんかに嫉妬する奴、ね。あえて言うなら、そこは嫉妬じゃなくて、怨恨だろう」
「なんつーこと言うんだよ、朔ちゃあん!」
「『朔ちゃん』呼びをするなといつも言ってるだろう」
「いや、まあな、確かに日頃恨みやらなんやら買ってるかもだけどな、そこまでされるほど人間腐ってねえってウン! ……ウン。多分」
「多分……ね。まあこれに懲りて普段から勉強するんだな。少しはバカが治るよ」
そう言い切ると、「誰がバカだって?!」などと叫んでいる春樹を背にして、朔は先へ先へと歩いていく。
「って、だからいつもいってんだろ、人を置いていくなって……!」
春樹の声が聞こえたのか否か。
兎も角、突然、朔は立ち止まっていた。
「どしたー? さ……」
朔、と名前を言いかけて、春樹自身も目の前の事態に、思わず言葉をなくしていた。
なんだ、これは……?
確かにここは学校だった。はずだ。
間違いない。うん。そうだそうだ。いくら馬鹿でも、ここがお勉強する公共施設ってことくらいはわかってる。
なのに……。
「何をどー間違えたらこうなるってのー?!」
春樹たちの目の前に。
氷漬けになった教室が、そこにあった。