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Re: 【初めまして】†KEY HUNTER†【感想コメ待ち】 ( No.6 )
日時: 2013/09/15 11:16
名前: 本間あるる ◆kFPwraB4aw (ID: JcxyhtqZ)

目の前には、氷漬けになった教室。

普通に考えて、……ありえない。
春樹の頭がおかしくなったのか。そうなのか。


そうに違いない。


「……いやいやいやっ?! え、……な、何?! どこをどー間違えたらこうなるんだ……! なぁ、これ、どー見ても教室に氷河期が訪れちゃってるよな。一面氷漬けって、……え、なに、どーなってんのコレ。机も、椅子も、……な、なんだよこれ……っ、なぁ朔!!」

ようやく事の状況を飲み込んだ春樹は、パニック状態で朔に疑問をぶつけていた。
いや、これは普通の人間の正常な反応であるわけであるが、そんな春樹を、朔はため息をつきながら眺めるのであった。

「……うるさい、春樹。落ち着け」

冷めた口調でいさめられ、

「いやいやいや朔ちゃんっ。うるさい、落ち着け、じゃあないでしょうが! この現状、おかしいから!」
「だから『朔ちゃん』言うなって」
「そんなの今はどうだっていいんだよ。さっきまで普通だった教室がいきなり氷漬けって……、おかしいと思わないのかよ?!」
「確かにおかしな現象だが、なってしまったものは仕方ないだろう。うん。これは立派な自然現象の一つだ」
「どこの世界に教室が一瞬で氷漬けになる自然現象があるんだよ!」
「実際、目の前で起こっているじゃないか。……まあ、確かにこの状況はおかしいな」
「俺はそんなお前の頭の構造もおかしいと思う。何? なんなの、その余裕は!」
「余裕も何も、……ああっ! オレは大変なことに気づいてしまった」

突然、朔はそう叫んだかと思うと、間の抜けた顔をしている春樹の右肩に、軽く手を載せた。

「春樹」
「な、なに、……かな。朔」

朔が黙って春樹を直視する。
刹那、一気に春樹の体中の血の気が引いたのは、教室が氷漬けになったせいで周りの気温が低くなっているから、ということにしておきたい。

「……まさかお前だったとはな」
「ハイっ?! な、なにが……?」

いきなり何を言い出すんだ、この男の子は。

「まさか……まさかお前が今まで起こしてきた全ての罪を清算するために教室を氷漬けにするとは」

真顔。
その顔に、笑みは一つも浮かんでいない。

「……って、いやいやいやいや! 誰がそんな『不思議不思議』な魔法少女みたいなこと出来るんだよ! 逆にお前のその思考回路が『不思議不思議』だっての! 一体お前は何年俺と一緒に過ごしてきたんだよ! 初等部からの付き合いだろうが! 俺、魔女っ娘ちゃん疑惑かけられるようなこと、してきたか?!」
「いやぁ、まさかここで新しい才能を発揮するとは。いやいや……春樹、君を見くびっていたよ」
「お前っ、…………ふざけてるだろ……」
「うん。少しふざけてみた」

氷漬けになっている教室の目の前で取り留めのない会話を展開している二人。
突如、どこからかクスクスと可愛らしい笑い声が聞こえた。



クスクスクス……


それは、廊下の奥の方から聞こえてくる。

「…………」
「……なぁ、朔」
「あぁ……」

二人は顔を見合わせると、黙って廊下を歩き出した。

今は放課後。しかも下校時刻はとっくのとうに過ぎている。
テスト期間中なので部活もなく、後者には春樹と朔しか生徒は残っていないはずだ。


はず、なのだが——。

  〜to be continued...