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Re: 【短編集】愛しい貴方との恋模様。 ( No.24 )
日時: 2013/12/01 14:10
名前: 八田 きいち。 ◆8HAMY6FOAU (ID: Qb.Gx.Ei)

貴女のその薬指に僕からの口づけを。




街の中心部にある展望台。
僕らは星をみにきていた。


「わあ!綺麗だね、亜希くん!」
「……桜、はしゃぎすぎだよ」


午後9時を回った。
あたりは闇に包まれて、
今にも僕らを飲み込んでしまいそう。


「えへへ、今日はありがとう。亜希くん!」
「……うん」


僕と桜は幼馴染だ。
僕はずっと桜のことが好きだったけど、
幼馴染という距離感を断ち切れなくて告白なんてできなかった。
……というのもあるけど。
単純に僕は恥ずかしかった。面と向かって『好き』なんて。
言えるはずない、そう思ってた。

だけど

ぎゅぅと握りしめた右手が痛い。
こんなにも彼女への想いが溢れてしまいそうだ。

『好きすぎて可笑しくなる』

そんな気持ち、一生理解なんかできないと思ってたのに。


「…………桜」
「なあに?亜希くん」


前を歩いていた桜が振り返る。
緩くカールした髪がゆっくりなびく。

僕はゆっくり桜に近づいた。


「……亜希くん?」


桜との距離は50センチ。


「……」


僕は地面に膝をついた。
それから桜の左手をとった。


「え、え?あ、亜希くん?」
「桜……」


ゆっくりと、
僕はその左手の薬指に
キスを落とした。


「僕が桜を幸せにする。卒業したら、この薬指に僕のものって証をあげる。だから……」


「亜希、くん……」











『僕と付き合ってください。』











スランプかっ?!
スランプなのか?!