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Re: 【短編集】愛しい貴方との恋模様。 ( No.27 )
日時: 2013/12/01 14:39
名前: 八田 きいち。 ◆8HAMY6FOAU (ID: Qb.Gx.Ei)


嘘でも好きって言ってください。






「本当にキスしていいんだよね?!」
「いいっつってるだろ?早くしろよー」
「っ……いや、あの。うん……」


放課後の誰もいない裏庭に、あたしはいた。
友達というか親友の裕也(ゆうや)と一緒に。


「え?てか、あたしからするの?え?」
「あのなぁ、雪(ゆき)。今時は女からいかねーとキスなんてできねーの。俺みたいな肉食系なんていねーしな!」
「そこはドヤるとこじゃないと思う」
「うっせー、早くしろ!」


目と唇を閉じて顔をこちらに向ける裕也はまつ毛が長くて、色白で、ほかのクラスの男子とは比べ物にならないくらい華奢で。女の子より可愛い顔をしてる。
そんなこいつとは高校入学当時からの親友で、男女の一線を超えた友情だって思ってる。

女友達からは「いつ付き合うの?」なんてよく聞かれるがあたしと裕也の間には恋愛感情なんて存在しない。
あるのは熱い友情だけだ!って思っていたあたしだった、が。


(ドキドキするし、心臓爆発する)


目の前の裕也にドキドキしっぱなしだ。


「おい」
「っひゃい!」


我慢できずに目を開けた裕也は真っ赤になったあたしを見てため息をついた。


「お前なぁ……んなので、一流エリート高校の彼氏とキスできると思ってんのか?」
「……う」
「デートは明日だろ?」
「うん……」


彼氏……初めての彼氏。その彼氏とのデートが明日に迫ったということを裕也に言ったら、キスはどうすんだ!とかお前処女だろ!とかお節介をやいてくる。とりあえず、キスは失敗してはいけないと裕也に言われ、こうしてキスの練習をしようとしているわけだ。


「早くしろよ。日が暮れるだろーが」
「……おぅ……いや、まて!無理だ!無理無理無理ー」
「はあ?!お前、アホか!失敗したらどーすんだよ!キスが下手な処女オンナなんて嫌われるんだからな!」
「ひ、酷いな!」
「いいから、さくっとやれ!」
「っ、無理だーーー!!」
「あっ、おい!雪!」


ダッと裕也に背を向けて走り出す。


(あたしには無理だ!裕也にキスとか!無理だからっ)


グイッと腕が引っ張られた。
何が起こったのかわからないまま体が押さえられた。


ドサッと柔らかい芝生が背中にあたった。
目の前には裕也の顔。そのいつもはみない真剣味の帯びた瞳に身体が動かなくなった。


「ゆう……」


名前を呼ぶことすらできなかったのは、


「っ、ゆ、や……」
「ん、……っふ」


裕也の唇に拒まれたから。












おおふw