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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【短編集】愛しい貴方との恋模様。 ( No.30 )
- 日時: 2014/01/21 20:03
- 名前: 八田 きいち。 ◆8HAMY6FOAU (ID: xTLxRpAm)
私は君の後ろしか見えない。
「ぅううぅぅぅ〜」
「そんなに模試ダメだったのかよ……」
呆れたようなあいつの声に、
うつむいていたあたしは顔をあげた。
「い、いつもよりよかったのぉお〜」
「は?じゃ、なんでんな落ち込んでんの?」
「あの人の志望校の合格ラインにはすごく遠いんだよぉおお」
「……あぁ」
大好きな大好きなあの人と同じ高校に行くために、
毎日いつも以上に勉強して寝る間も惜しんだのに。
「っひぐ、ぐす、っう」
「……おい」
「っうわ……」
頬に伝う熱い涙は、
あたしの頬を包み込む大きい手で遮られた。
「……泣くなよ、アホ」
「っ、だ、だってぇええ〜」
「泣くなっつってんじゃん、バカ」
「ううっ、やめてぇえ〜馬鹿って言わないでよぉお」
「うっせぇ!」
「あぅ!!?」
ゴチンッと乱暴におでこをくっつけてきたあいつ。
間近で見たあいつの顔は真剣で、
あたしは呆然とあいつを見つめていた。
「……まだ、大丈夫だから」
「……え?」
「まだ受験まで間に合う。俺が勉強教えてやるから」
「頑張れ」と言って、
おでこをゆっくり離す。
「……ふぇええぁあええ!!」
「なんでさっきより泣いてんだよっ!泣くなよ!慰めただろ!?」
違うよ。
嬉しいんだよ。
君の言葉が嬉しかったんだよ。
「ありがとう」
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