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第四十九話『彼の暴走』


現実を突きつけられてから、もう大分痛みにもなれた。
だけどこの気持ちは、いつまで経っても消えない訳で。


『みんなでカラオケ行こう！』


そんなある日。
尋子のそんな提案で、再び四組のグループLINEは活発化した。


私はカラオケ大好き人間なので、ノリノリで参加。
そこからちらほらと他の人も話に参加し、みんなで語っていた——のだが。


『俺行かないけど美紀が行くわ』


孝仁も話に入り、そう言いだす。
そうなると同時に、美紀ちゃんも現れる。


『こらぁ孝仁ー！
なに勝手に決めてるのさぁ！(笑)』

『行かないの？』

『野球だわ』


二人はそんなやりとりを始め、またクラスの皆の動きは止まる。
ちなみに、美紀ちゃんは野球が大好きなのでしょっちゅう野球を見に行っているのだ。


『野球？わら』


孝仁は疑問に思ったのか、そう返す。
すると陽子が


『美紀は野球見にいくんでしょ』


美紀ちゃんの代わりにそう反応した……が。


『ちがうだろ』


孝仁がそう返し、陽子は黙る。
……いや、違くないだろ。
多分ここにいる数人はそう思ったはず、と私は心の中でツッコミをいれた。


そう、ここから孝仁が暴走し始めるとは知らずに。