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第三話『諦め』


そう思っていると、すぐに孝仁から返事が来た。
……こういう時だけ、返事が速い。


from.孝仁
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他に好きな人はいないんだ

でも、遊ぶ暇ないんだったら付き合ってたって意味ないじゃん
今は部活とバイトに集中したいんだ

だからお願い違う人探して
俺じゃダメだ
別れる
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他に好きな人がいないなら、安心。
でも、だからこそ。


だからこそ、諦めたくなかった。


from.依麻
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遊ぶ暇なくても私は我慢できるし
わがまま言わないよ
私、付き合えてるだけで幸せだもん
周りはみんなべたべたなカップルとか
いっぱいいるけど
うちらにはうちらの恋愛で
こういう付き合い方もあるんだよ？

部活とバイトに集中したいなら
邪魔しない
応援したいもん
応援したいなら別れろよってなるかもだけど
孝仁じゃなきゃやだ

違う人探せるなら
もうとっくに探してる

孝仁がこうやって自分の気持ち素直に私に言ってくれるのは
凄く嬉しい
だけどもっかい考え直してよ
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うざいかもしれない。
うざいかも、しれないけれど。
伝えたいことがありすぎて、言葉がうまくまとまらない。
だから無駄に長文になるし、文章の内容が酷くなる。


でも、これが私の本音。
孝仁がちゃんと自分の気持ちを言ってくれるなら私は我慢できるし不安にもならない。


そう思っていると、またすぐに返事が来た。


from.孝仁
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諦めてや

まだ付き合ってたら、
そっちはいいかもしれないけど
俺は遊ばなきゃとか、
メールしなきゃとかいろいろ考えるんだって

俺の事を思うんだったら別れてや
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孝仁、怒ってる。
そして、あまり聞かない孝仁の本音。
……私のこと、色々考えてくれてた？
メールしなきゃとか、遊ばなきゃとか。
ちゃんと、考えてくれてたの？


孝仁は何も言わなかったし、私からも聞かなかったから。
私の事、ちゃんと考えてくれていたことなんて知らなかった。


『俺の事を思うんだったら別れてや』


これを言われちゃあ、どうしようもできない。
思わず言葉に詰まり、指が止まる。
ここまでしつこいくらい次々と溢れ出ていた言葉が、まったく出てこなくなった。


「……わたし、は」


自分勝手、だった。
復縁出来た嬉しさで、自分の気持ちをぶつけすぎていたのかもしれない。
今更かよってなるかもだけど——。


でも、今のままだと孝仁を苦しめてる。


from.依麻
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ごめん…

考えてくれるの嬉しいけど
そんなこと考えなくていいよ

本当にごめんなさい
これじゃ私自分勝手だよね

孝仁のこと考えたら別れたい
けど気持ち的には別れたくない
元に戻れなくなるの嫌だ

もうやだこういうの困るよね、
本当にしつこくてごめんなさい
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


もう、ただひたすら謝ることしか出来なかった。
孝仁のことを考えたら別れた方がいい。
だけど気持ちは、やっぱり別れたくなくて——。
こういう考えも孝仁を困らせてる。


とにかくもう、こんな自分が嫌だった。