コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 6話更新! ( No.22 )
- 日時: 2013/09/14 17:22
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: bENRlx9e)
- 参照: ありがたき幸せを大切に。
第七話『可愛い子』
一月二十八日、一時七分。
復縁して、一ヶ月とちょうど十日。
里見孝仁くんと、別れてしまいました。
私はその後、インフルエンザで出席停止の為しばらく学校に行かずに済んだのだが——。
気が付けばもう、二月で。
バレンタインという、今の私にとっては最悪過ぎる行事が間近に迫っていた。
「……どうしようか……」
仕方なく学校に行き、授業中に考える。
孝仁の姿を見ればやっぱり切ないし、悲しい。
そして、やっぱり好きっていう気持ちが募っていく。
だけどもう、あの日以来涙が出ることはなかった。
「——……可愛いよね、」
そんな中、孝仁はのんきに男子たちと可愛い女子について話しているのが耳に入った。
……あの日から泣いてない、けれど。
でもやっぱり、そんな話が聞こえてくると泣きそうになるわけで。
たまに孝仁がこっちを向くせいで目が合いかけて。
それでまた、切なくなって——。
授業が終わった後、私は孝仁と席が近い加耶に何を話していたかこっそりと聞いてみた。
「……なんか、クラスで一番可愛い子誰? みたいな話をしてたけど……。そこはよく聞こえなかった」
加耶はそう言い、肩を落とす。
そういう話をすると必ず名前が出るのは、同じクラスの原崎陽子か矢川美紀ちゃんだ。
「……だけどね、その後の会話は聞いちゃったの」
「なんて言ってたの?」
私が加耶に対し首を傾げると、加耶は少し言いづらそうに目を伏せた。
そして、ややしばらく沈黙が走り——。
「……言いづらい、んだけどね」
加耶が口を開いた。
「……いいよ、加耶。言って」
「孝仁くんが、陽子のこと可愛いって連呼してた」
加耶の言葉に、私は目が点になる。
原崎陽子。
孝仁が入学当初、好きだった女の子。
いや、陽子が可愛いのは事実だけどさ——。
「それでね、陽子と中学同じ男子に『陽子の卒アル見せてー』とか『どんな感じだったー?』とか、色々質問してた」
加耶の言葉に、更に目が点になる。
……随分と、興味津々なようで。
「それでね……、依麻」
「うん?」
「陽子が可愛すぎてまともに見れないって言ってた」
加耶のその言葉で、私の頭は思考停止した。
……授業中、私の方を見ていたわけじゃない。
孝仁は、私の席の近くの陽子を見ていたんだ。
自惚れてた私、乙。
——別れて、まだ一週間。
孝仁の脳内から、完全に私が消えていると感じた瞬間だった。