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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 8話更新! ( No.29 )
- 日時: 2013/09/15 14:19
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: W6MelwHU)
- 参照: ありがたき幸せを大切に。
第九話『目の前の光景』
外からバスの中に居る陽子を探している孝仁。
何も知らずに、友達と話しながら笑顔で降りていく陽子。
そして、その光景を窓から見つめる私。
陽子もバスから降りて、バスの扉が閉まる。
それに気づいた孝仁は、今度は後ろを向いて陽子を見つめている。
……見事なガン見です、ありがとうございました。
なんて、言ってる場合じゃなくて。
≪発車しまーす≫
運転手さんのその声と共に、バスは何も知らずに発車する。
孝仁と陽子の姿が、通り過ぎていって。
私はそこで、窓から目を逸らした。
「……まじかよ」
思わず声に出してしまう、消えるように溶けていく呟き。
私は未練タラタラで、まだ孝仁が好き。
孝仁は、私の目の前で違う女の子を見ていて——。
……いや流石にさ、目の前で見るのはキツい。
諦めよう、って決めてても——。
希望なんかない、ってわかってても。
やっぱり私は、孝仁が好きで。
心のどこかではやっぱり悲しくて。
『大丈夫だ私は』なんて思っていても、まだちゃんと現実を見れる状況じゃなかった。
心のどこかでは、大丈夫なんかじゃない。
こんな光景を見て、平気でいられる訳なんかないんだ。
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