コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 10話更新! ( No.33 )
- 日時: 2013/09/16 20:09
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: Aw5kQYTw)
- 参照: ありがたき幸せを大切に。
第十一話『ほろ苦い悩み』
嘘の口実も知ってしまったし、もう希望も何もない。
諦めた方がいいのなんて、わかっているけれど——。
「……あー……」
私は、重い足取りで学校の廊下を歩いていた。
時刻は九時を過ぎていて、当然遅刻。
静かな廊下に真っ白い雪が光で反射して、どことなく明るく感じて。
私はそのまま階段を上り、職員室前へ。
遅刻届書くの面倒くさいし、なんかもう教室に行きたくない……。
そう思っていると、
「……水城?」
後ろから声をかけられ、振り返る。
見れば、コンビニの袋を手に持ってカバンを背負っている翔斗が居た。
「おー、翔斗」
「お前も遅刻?」
「まぁね。翔斗は由良と遊んでたんでしょ?」
「うん、昨日泊まりしてた」
そんな会話をしながら、私達は遅刻届を書く。
彼女とお泊りなんて羨ましいなぁ……。
そう思いながら、教室に行くために翔斗の隣を歩いていた。
「……水城」
「んー?」
「お前、孝仁にチョコあげんの?」
翔斗のその言葉で、私の動きは止まる。
翔斗も足を止めて、私の顔を覗き込むようにして小さく笑った。
「やっぱ、あげるんだ」
「……まぁ、あげたいなぁとは思うけどさ……」
意地悪な顔で笑う翔斗に対し、私は俯きながらもそう言う。
来週はもう、バレンタインだし——。
今月も、私の悩みは尽きなさそうだ。
「翔斗も見ててわかるだろうけど、孝仁は陽子の事好きだしさー。なんだかね」
「あぁ、なんか陽子のバイト先に行きたいってうるさいよな」
「そうなのよ! 正直、私はまだ未練タラタラで好きなんだけどさ。あまりにも目に見えすぎてるっちゅーか……」
「まぁな」
目に見えてる真実は変わらないんだから、受け入れなきゃいけないのだけれど。
私は再び足を進め、翔斗と共に階段を上った。
「……でも、それでもあげるって凄いよな。水城」
「私しつこすぎるけどね」
「もらうだけなら嬉しいとは思うけどな」
翔斗はそう言い、頭をかく。
……もらうだけなら……かぁ……。
そういうものなのかな。
「そうだといいけどなぁ……」
「まぁ、頑張れよ」
翔斗はそう笑いながら、教室のドアを開く。
クラスメートからの注目を浴びながらも、翔斗と私は教室に入った。
「翔斗、遅いぞー」
「おー、おはよ」
男子に囲まれる翔斗を見ながら、私は自分の席につく。
……バレンタイン、かぁ……。
あげれるならあげたいけれど、どうしよう。
「うーん……」
悩む。
私は鞄の中身を整理しながら、ひたすらバレンタインのことについて考えていた。