コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 12話更新! ( No.38 )
- 日時: 2013/09/17 18:01
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 2zVo1PMY)
- 参照: ありがたき幸せを大切に。
第十三話『裏腹な心』
とにかく、悲しかった。
自業自得だとしても、孝仁の言葉の一つ一つが冷たくて——。
もう、孝仁を諦めた方がいい。
そんなこと前々からわかっていたけれど、今回改めて思った。
孝仁なんか、嫌い。
大嫌い。
私はそう心の中で自分に言い聞かせるようにして、学校から逃げるように帰宅。
そのまま家に篭り、携帯をいじっていると——……。
from.孝仁
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お前今日泣いてなかった?
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……孝仁から、そんなメールが来た。
今更、何の用だ。
私が泣いてるのなんて、気にしなくていいのに——。
そう思いスルーしていると、数分後にまたメールが来た。
from.依麻
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おーい\(^O^)/
もしかして俺なんかした?
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なんかした、なんて——。
わかってるくせに。
悲しみからどんどん苛立ちに変わってきた私は、そのメールもスルーした。
すると今度は、携帯が震えだす。
同時に画面に浮かぶ文字を見て、私は目を見開いた。
着信:里見 孝仁
……なんで、電話までかけてくるの?
私はしばらく携帯を見つめたまま、固まる。
好きじゃないなら、もう放っておけばいいのに。
その孝仁の優しさに、また涙が出そうになるのと同時に、やっぱり少し嬉しくて——。
私は出るか出ないか数秒迷った末、ゆっくりと通話ボタンを押した。
「……はい」
≪もしもし?≫
いつも通りの、孝仁の声。
私の胸は、少しだけ締め付けられた。
「はい」
≪今日お前泣いてたべ≫
「……」
≪おい?≫
「……なんで」
私は少し冷たい態度になりながらも、孝仁に向かってそう呟く。
それでも孝仁は私の問いに対し、
≪周りの男子から聞いたから。なんで泣いてたの≫
やっぱりいつもの平然な口調で、そう言った。
——……周りの男子から聞いた?
全部知ってるくせに。
孝仁の、嘘つき。
「……知ってるくせに」
≪あ?≫
私が少し強めに言うと、孝仁の声のトーンが急に変わり出す。
私は少し怯みながらも、負けずに口を開いた。
「知ってるんでしょ、全部」
≪……は? お前何いってんの≫
「……」
≪勘違いしてんじゃねぇの≫
何故か孝仁が、怒っている。
先程まで苛立っていたのは私だったが、いつの間にか立場が逆転していて——。
気が付けば、半泣きの私。
「う、……ほほ」
返す言葉がなく、涙を堪えながら笑う私。
しかしそんな私をスルーして、
≪とにかく、メールしよ?≫
孝仁は、優しい声でそう言った。
この優しい言い方に、ドキッとするのと同時に——。
陽子が好きならなぜそこまで構うんだよ、期待させんな。
そう思ってしまう私が、居て。
「……なんでよ」
今度は私が、怒り口調になってしまった。
そう、私がこんなんだから孝仁も——。
≪別にメールしたくねーならいいよ。とにかく切るわ≫
また怒りだしてしまう訳で。
「……え、や……、そんなこといってないじゃん」
慌てる私は、戸惑いながらそう言った。
……私のこと好きじゃないのに連絡してくる孝仁は、嫌で。
だけど心配してくれる孝仁は、優しくて。
本当は切りたくない、なんて言えない。
「……」
≪……≫
私と孝仁の間に沈黙が続き——。
しばらく無言が続いた後、電話を切られた。