コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 12話更新! ( No.39 )
- 日時: 2013/09/17 18:36
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 2zVo1PMY)
- 参照: ありがたき幸せを大切に。
第十四話『優しい声』
……電話、切られた。
まぁ孝仁が怒るのも、当然な訳で。
そう思っていると、
from.孝仁
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なに怒ってんの?
マジで訳わかんないんだけど
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孝仁からそんなメールが来た。
私は少し落ち着きを取り戻しながら、返事を打つ。
from.依麻
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怒ってないよ
勘違いさせてごめんね
ただ悲しかっただけだから
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from.孝仁
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勘違いしてねーか?
マジでなに?
言えや
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なんで孝仁がこんなに怒っているのか。
わかってるくせに、なんて説明すればいいの——?
そう思っていると、もう一件孝仁からメールが来た。
from.孝仁
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お前と付き合ってた話をしたから?
なに?それ以外話してねーぞ
あとは他の男子の話だぞ
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……え?
だって、孝仁は確かに色々と——。
なんだか訳がわからなくなりながらも、私は返事をした。
from.依麻
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孝仁こそなんで怒ってんの?
なんか色々言ってたのを
全部じゃないけど聞こえてて、
そう思われてたんだなって
悲しくなっただけだよ
文章じゃ伝えにくいから
私からもっかい電話していい?
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そう送り、しばらく待つが——。
返事ナシ。
これは電話をしてもいいのか……?
そう思い、試しに一度電話してみるが——。
「……あれ」
出ない。
ま、まさか逃げられた……!?
そう思いまた苛立っていると、しばらくして孝仁から電話が来た。
「はい」
≪もしもし?≫
再び怒り口調になりながらも、私は電話に出る。
やはり孝仁は、いつも通りの口調で。
≪ごめん、風呂入ってた≫
「……あ、大丈夫だよ。孝仁、電話代大丈夫?」
≪あぁ、うん。俺はバイト代で自分の携帯代払ってるから大丈夫≫
電話越しでもわかる、ドヤ顔ボイス。
それにまた少し腹が立ちながらも、私は苦笑いを浮かべた。
≪……で、なんで泣いてたの?≫
「あのね、全部じゃないけど聞こえたのさ。色々と私のこと」
≪なにを≫
「え、あの、最低とか色々?」
いざ電話をしていると、頭が真っ白になってしまう訳で。
私は戸惑いながらも、ゆっくりと言葉を繋いで言った。
≪……あー、あれね。他の男子の元カノの話≫
「へ、」
孝仁の予想外の言葉に、私は間抜けな声を出す。
他の男子の元カノの話——?
≪なんでお前なのよ……≫
「……え、だって」
孝仁のそんな掠れ気味の声に、私はドキッとしながらも固まる。
でも確かにあの時、孝仁は『過去の事は思い出したくない』って……。
≪お前のことじゃねぇよ≫
口を開こうとするが、すぐに孝仁に言葉を返される。
私は俯き、唇を噛み締めた。
≪お前な訳ねぇべや≫
「……だって、」
≪お前勘違いしてるだろうなとは思ったよ。あぁいう話してる時、みるみるうちにお前の顔暗くなってったからさ≫
孝仁はそう言い、呆れたように笑う。
……じゃあ、
「……私の勘違いだったの?」
≪あぁ、お前の勘違い。お前な訳ねぇよ≫
引っかかる点はあるけど、孝仁がそう言うのならば——。
私は、それを信じたくて。
「私がどおもっだ……」
みるみるうちに涙が出てきて、私は子供のように泣きじゃくった。
≪お前な訳ないよ≫
そんな優しい言い方と優しい声が、また嬉しくて。
そして胸が苦しくなって——。
また涙が、止まらなくなった。