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第十五話『増えていく悩み』


≪……じゃあ、俺は誤解ときたかっただけだし、そろそろおひらきにしますか≫
「うん」


このまま完璧に諦められたら楽なのに。


≪……お前、ちゃんと寝ろよ？≫


優しくされると、また戻ってしまう訳で。


「わかったよ、ありがと」
≪ん≫
「……ありがとうね」
≪おう、じゃあ》
「はーい」


ここで電話が終わり、私は大きなため息をつく。
孝仁と二分を超えた電話は初めて……だ。


「はぁぁぁ……」


諦めようと思っていたけれど、電話をしてたらやっぱり好きって実感して。
好きじゃないのに優しくしてくれる孝仁。


それがもどかしくて、苦しくて——……。


「……どうすればいいんだろう……」


孝仁が陽子の事狙ってるのはわかってる。
もう私に振り向いてくれないのも、わかってる。


バレンタインまで、もう少し。
あげたいけれど、あげてもいいのかわからないし——。
まだ好きでいていいのかも、よくわからない。


だけど残りのこの数日で、諦められるかって言われたらそんなの無理な話で——。


私の悩みは、更に増える一方だった。