ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

第十六話『苦い恋心』


そのまま答えなんて出るはずなく——。
あっという間に、二月十四日。
バレンタインデー当日。


「……はぁ」


結局この日、私は学校を休んでしまった。
孝仁にあげてもあげなくても、あのハッピーなオーラが湧きたつこの日に学校に行きたくなかった訳で。


「……駄目だなぁ……」


私は布団から起き上がり、溜息をつく。
学校では相変わらずだし、所詮元彼元カノの関係。
いくら優しくされても、心配されても——。
孝仁が好きなのは、私じゃなくて。


「あーあ……」


そのまま冷蔵庫の方へ進み、小さくラッピングされた物体を掴む。
……一応、孝仁に買った市販のチョコレート。
孝仁が好きなアニメのキャラクターのチョコで、値段もそこそこだったのだが——……。


このチョコレートは、簡単に渡せるわけない。
学校を休んで逃げた以上、もう渡さないって決めてるようなものだし——。


それに私はもう、孝仁を諦めなきゃいけないんだ。


「……いただきます」


私はラッピングを乱暴に剥がし、中身をあけた。
そのまま一つ、チョコレートを手に取って——。
口に、運ぶ。


「……甘っ」


思わずそう呟いてしまうくらい、そのチョコレートは甘くて。
孝仁にあげてたら、甘すぎて笑うだろうな……なんて思い浮かべて。
勝手に、切なくなって。



















こんなチョコレートみたいな甘い恋なんて、私には出来ない。


























チョコレートの味と裏腹な気持ちに、私はひたすら悲しくなった。