ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

第十七話『嫌な予感』


そのまま、バレンタインはただ切なくなって終わって。
次の日の学校も何事もなく、孝仁はやっぱり相変わらずで。
その次の日もまた、いつものような日常で——……。


こんなに未練がましいのは、私だけなんだ。
日常的には、何も変わっていないのに——。
私が勝手に悲しんでいるだけで。
前に進めないだけで。


私だけ、時間が止まっているみたいだった。


＊＊


そんな勝手に悲しむ日々を続け——。
バレンタインから三日が経った、二月十七日。
今日も学校から逃げるように帰り、家で引きこもっていた。


from.美紀
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
依麻ー！
みっきだけど今大丈夫？
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


そんな時に届いた、一通のメール。
送り主は珍しい、同じクラスの矢川美紀ちゃんで——。


from.依麻
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
美紀ちゃんー！
なしたなした？
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

from.美紀
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
依麻に大事な話あるんだけど
今大丈夫？
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


美紀ちゃんからそう送られてきて、私は固まる。
——大事な、話。


嫌な予感しかしない。
……しない、けれど。


from.依麻
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
大丈夫だよ！
遠慮せずかもん(笑)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


私は平然を装い、そう送る。
そして、私の頭の中では夏のあの事件が浮かぶ。


真枝と美紀ちゃんは孝仁が好きで。
孝仁は私が好きで。
私と加耶はハチが好きで。
ハチは美紀ちゃんが好きで——。
結末は私と孝仁が付き合って、美紀ちゃんとハチが付き合って収まった……けれど。


今は私たちのカップルも美紀ちゃんたちのカップルも別れてるし。
美紀ちゃんが大事な話を私にするなんて、なかなかないことだ。
だからとてつもなく、嫌な予感はしたけれど——。


……いや、まさかね。
私はそう思いながら、美紀ちゃんから返事が来るのを待っていた。