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Re: *涙恋華*(実話) 18話更新! ( No.52 )
日時: 2013/09/21 13:03
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: IS3fXoEU)
参照: ありがたき幸せを大切に。

第二十話『突き刺さる現実』


人生、何が起きるか本当にわからない。


ついこの間まで傍にいた人が、今は違う人に恋をしている。


そんな恋の儚さを、私は二月十七日にしっかりと体感した。


**


そして今日、二月十八日。
孝仁とまだ付き合ってたら、今日で二ヶ月だった訳で——。
一度も別れないままでいたら、もう七ヶ月だった。


そんな過去の事を振り返って悲しくなっても、もうどうにもならない訳で。
今は現実に向き合わなきゃいけない。


美紀ちゃんに会っても、笑顔で居なきゃ。
孝仁と美紀ちゃんは、両想い。


私がきちんと、祝福しなきゃいけないんだ。


私は自分に何度もそう言い聞かせ、いつものように学校へ向かった。


**


学校に着くと、テストが近いので席順が出席番号に並んでいて——。
私は『み』で最後らへんなので窓際の後ろから三番目……なのだが、


「……まじか……」


私は思わず声と共に溜息を洩らした。
出席番号順だと、私の後ろに美紀ちゃんがいるのだ。


……なんという、タイミング。
私は顔が引きつりそうになりながらも、なんとか笑顔をつくって自分の席に着いた。


「……っお、おはよーう!!」


私は変なイントネーションになりながらも、美紀ちゃんに挨拶をする。
すると鞄の中を整理していた美紀ちゃんが、顔をあげた。


「……あ、依麻」


美紀ちゃんは私の顔を見て、小さく笑う。
私も、笑顔で挨拶したはずだ。


——したはず、だったが。


「……依麻ー」


涙は、私の頬を伝っていて。
……どうしてこのタイミングで泣く、自分。
私は慌てて涙を拭い、もう一度美紀ちゃんに向かって笑顔をつくった。


「……っだめだ、ごめん!! 年のせいで涙腺が……」


そんな苦し紛れの言い訳。
自分でもわかっているのに、涙は止まらなくて。
泣きながら笑顔をつくったので、私の顔はぐちゃぐちゃになっていた。


「依麻の昨日のメールだけで、みっきはいっぱいだよー」
「いやいや」


美紀ちゃんはそう言いながら、私の肩に手を置く。
昨日のメール。
私にとっては信じられない——信じたくない事実。


胸が小さく痛むのと同時に、美紀ちゃんは頬杖をついた。


「やー、依麻。どうしよう」
「……今日、伝えるの?」
「うん、できたら!」


自分から聞いといて、自分からまた心を痛めつけて。
美紀ちゃんは何も悪くないのに、美紀ちゃんの笑顔が、ひたすら胸に突き刺さった。


「今日、連絡してみるんだー」


美紀ちゃんは、そう明るい笑顔で言う。
連絡。
その単語でさえも、今は苦しい。


「……っそ、そっか!!」


本来ならば笑える状況じゃないんだけれども、


「じゃあ今日が記念日になるかもだね」


私は、美紀ちゃんに負けないくらい明るい笑顔をつくった。
……そして、自分の言った言葉を思い返して我に返る。


今日は、二月十八日。
孝仁と付き合ってたら、二ヶ月記念日だった訳で。


そんな日に美紀ちゃんと孝仁の記念日になるかもなんて、タイミングの悪すぎにも程がある。


「……ま、毎日連絡しあってるの?」
「うん!」


自分から聞いたくせして、大きなトゲが胸に刺さったような気がした。
自爆にも、程がある自分。
誰も悪くないのに、勝手に自爆して。
勝手に傷付いて——。


ほら、またうまく笑えない私が居る。