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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 26話更新! ( No.66 )
- 日時: 2013/09/30 21:31
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: vOrEmgsE)
- 参照: めげないと決めた17歳の秋。
第二十七話『受け入れたくなかった現実』
この時、廊下なんて見なきゃよかった。
見なきゃよかった、のに。
私は、もう一度廊下を見てしまったんだ。
「——孝仁くん」
廊下を見ると、そんな美紀ちゃんの甘い声がして。
次に耳に入ったのは、
「……帰ろ」
孝仁の、そんな優しい声。
同時に視界に入るのは、
二人が一緒に帰ろうと並んで歩いているところだった。
目の前の光景が一瞬にして止まるのと同時に、次に視界に入ったのは——。
二人を見て私と同じように固まっているあゆと加耶と真枝。
と、同時に横から聞こえてくる会話は、
「……美紀、結局帰りどうするって言ってたの?」
「なんかねー、孝仁に駅まで送ってもらうらしいよ」
そんな、残酷な会話。
その会話をしているのは陽子と尋子だけど、もはやそれはどうでもよかった。
私の目の前で、一気に色んな事が起こりすぎて頭の中が破裂しそう。
「……依麻、」
ただ茫然と立ち尽くしていると、そんなあゆの控えめな声が聞こえ——。
私は、やっと我に返る。
「……あゆぅぅうう」
あゆが近づいてくるのと同時に、一気に何かが爆発したかのように私の目からは涙が零れ落ちる。
もう、泣かないつもりだったのに。
泣いても現実は変わらない。
これが、現実なのに。
私だって、自分でもわかってたつもりだった。
孝仁はもう私の事なんか眼中にない、希望なんてない。
わかっていた、受け入れていたつもりだったけれど——……。
そんなことは、ただ私が強がっているだけだった。
でも今この目で、しっかりと現実を思い知らされたんだ。
本当はわかりたくなかったことを、私はしっかりとわかった。
孝仁と美紀ちゃんは、紛れもなくカップルなんだって。
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