コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 26話更新! ( No.67 )
- 日時: 2013/10/02 16:53
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: F08K/Z64)
- 参照: めげないと決めた17歳の秋。
第二十八話『信じたくなかった事』
自分の中ではそんなこと、受け入れたつもりでいた。
だけど、心の奥の本心は受け入れてなかったんだ。
——受け入れたく、なかった。
戻れないとはわかっていても、孝仁に新しい彼女が出来るなんて——……。
そんなの、信じたくなかっただけだったんだ。
「依麻ー……」
泣きじゃくる私に対し、あゆや加耶、真枝は優しく声をかけてくれる。
そんな風にみんなして私に優しくしてくれているので、異変に気付いた陽子と尋子がやってきた。
「依麻ぁぁぁ」
「え、ちょ、依麻、なしたのー」
尋子と陽子は、私の頭を撫でてくれる。
それは嬉しいけれど、でも二人も結局は美紀ちゃんと仲がいいから——。
「依麻は辛いけどさ……。どうにもならないよね」
「うん、仕方ないよね」
こうなる訳で。
……いや、どうにもならないのはその通りなんだけど——。
やっぱり仕方ない、ことなのかな。
「依麻ー、みっきは悪気あってしてるわけじゃないからさ。……ってか、悪気は絶対あるわけないよね」
「うんうん」
私の頭を撫でながら少し強い口調で言う陽子と、頷く尋子。
私はただ黙って、俯いていた。
「みっきも気にしてたんだ。だけどね、依麻が普通に話してくれるし優しいって言っててさ」
「言ってるよね、美紀」
「うん。だからさ、依麻。みっきの前であまり泣かないであげて? みっきのこと責めないであげて」
陽子はそう言いながら、笑みを浮かべる。
私はそこで顔を上げ、笑顔の陽子を見た。
美紀ちゃんが本当に気にしてるなら——。
もっとデリカシーある行動がとれるはずだ。
本当に悪気がなかったらLINEに書いたりしない。
そう思う自分に嫌気がさすのと同時に、悔しかった。
私が自業自得で悪いし、別れたのは事実。
もう私は孝仁にとって『過去』の人。
でも孝仁の心の中にいなくても、私だって——。
私だって、孝仁が好きなのには変わらない。
……なんていったらいいか、よくわからない。
『好きだからこそ認めたくない』っていう私の我が儘も結局はあるんだろうけど——……。
見せつけてくる美紀ちゃんには、正直腹が立つ。
でも、そう思う自分が一番腹立つ。
それでも、私はどうすることもできない訳で。
もう一度、俯くことしか出来なかった。
「……でもさ、陽子」
俯いている私の肩を引き寄せ、あゆはそうゆっくりと口を開く。
私は驚いて顔を上げ、あゆを見る。
「泣くなっつーのは無理な話じゃん? 依麻辛いもん、我慢すんな」
あゆは陽子に対し、そう言いながらもう一度私の頭を撫でてくれた。
その言葉が暖かくて、優しくて——。
私の目には再び涙が溢れてきた。
だけど、あゆの優しさは陽子と尋子には届いていなかったみたいで。
二人はあゆを無視し、どこかへ行ってしまった。
「……あゆ、ありがとう……」
私は震えた情けない声で、目をこすりながらそう呟く。
あゆは何も言わない代わりに、私のことを抱きしめてくれた。