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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 30話更新! ( No.76 )
- 日時: 2013/10/11 22:18
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: UXIe.98c)
第三十二話『流れていく時間』
この気持ちはやっぱり、いつになっても私を苦しめるもので。
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忘れられないけど、忘れたい。
ううん、忘れなきゃいけない。
……でも、忘れられない。
そんな日常を繰り返して、気が付けばもう三月。
雪はまだ積もっているけれど、少しずつ春に近づいてきている季節。
そんな中で、高校一年生の間に学校に通うのは残り数回。
二年生になるまでは、あと三週間。
そして、あと五日で——。
孝仁と美紀ちゃんが、付き合って一ヶ月だ。
同時に、私が孝仁と別れてもう二ヶ月が経つ訳で。
時間っていうのは、本当に残酷だと思った。
そして、
「……まじですか……」
神様も残酷だと思う今日この頃。
「依麻、頑張って」
黒板を見てフリーズしている私に対し、あゆは後ろから溜息混じりでそう呟いた。
……そう、私のクラスでは最後の席替えということで、盛大に席替えをしたのだが——……。
私の新しい席は一番前の上に、美紀ちゃんの隣だったのだ。
「依麻、隣だね」
「そ、そうだね! よろしく〜」
美紀ちゃんは私の方を見て、にっこりとほほ笑む。
私もぎこちないながらも笑みを返すが、
「……あ、よろしく」
美紀ちゃんの顔が一瞬ひきつったように見えた——……気がした。
多分、美紀ちゃんも内心複雑だろう。
……ちなみに、孝仁は窓側なので廊下側にいる私と美紀ちゃんからは凄く離れている。
最後の席替えで、こうなるとは——。
私はその場で小さくうなだれた。
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