コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 35話更新! ( No.89 )
- 日時: 2013/10/24 19:00
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: diY.t.1D)
- 参照: 君が好きなのは僕じゃないだけだ、
第三十八話『変わりゆく人』
孝仁と美紀ちゃんが無事に一ヶ月突破した、次の日の朝——。
「……はぁ……」
私は教室の前で小さく溜息をついていた。
……なんだか、体が重い。
もう何日も経つのに、未だになれないこの状況。
でも学校ではちゃんと笑顔で行かなきゃ。
私は自分自身に気合を入れ直し、何食わぬ顔で教室へと入る。
そして顔を上げた瞬間に、タイミングよく孝仁が横切った。
——前髪を上げて、髪を盛って。
夏の頃は髪も何もセットしていなかったのに——。
「孝仁、チャラいな」
周りの男子が孝仁にそう言うと、孝仁の足は止まり——。
あの、憎めない笑顔を浮かべる。
……なんだかもう、全然違う人に見えた。
「——あ、孝仁くんー」
そしてタイミング悪く、美紀ちゃんが孝仁に駆け寄っていって——。
私は思わず、背中を向けた。
「孝仁くん、おはよ」
「おはよう」
私がいる位置も問題なのかもしれないけれど——……。
「ねぇ孝仁くん、昨日さ——……」
どうして、朝からこんな近くで二人の会話を聞かなきゃいけないんだ。
「……真枝! おはよーっ」
私は邪念を振り払う為に真枝に向かって大声でそう言う。
「おはよー、依麻」
真枝はそう小さく手を振ってから、
『大丈夫?』
口パクでそう言った。
……察してたのか、真枝。
私は小さく頷ずき、笑顔でピースサインを返した。
恋人だから話すのは当たり前。
当たり前、なんだよ。
「……そんなことよりも、真枝ー」
私はやっとそこから移動し、真枝の元へと行く。
遠ざかる、二人。
「あはははっ」
美紀ちゃんの笑い声だけが、聞こえてくる。
昨日で一ヶ月突破したからなのか、いかにも今日テンションが高いあの二人。
関係ない、関係ない。
どうせ、今日と明日の学校を頑張れば春休み。
クラス替えまではまだ期間はあるけれど、もう教室内で二人を見なくて済むんだ。
もう、私には関係ない。
私は次々と頭に浮かぶものを、一生懸命殺した。