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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *涙恋華*(実話) 42話更新! ( No.99 )
- 日時: 2013/11/24 00:21
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: QNd6qtAW)
第四十五話『揺られる想い』
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そのままなんとか電車に乗り——。
男子たちは固まって座り、私はその後ろで一人座っていた。
……背中越しに孝仁がいるなんて、なんか緊張する。
そう思うのと同時に、私は勢いよく顔をあげた。
「……っね、ねぇ」
「あ?」
「電車どっち向き?」
私は電車の向きと体の向きが逆だと、酔ってしまうのだ。
だから慌てて男子たちにそう聞くが——。
「こっち」
「あぁ、あ」
「……っぶ」
孝仁に吹き出された。
私は思いがけぬ出来事に、思わず目を見開いた。
「え」
「なに言ってるかわからないのは俺だけ?」
「え、え」
「俺もわからなかった」
孝仁と村野は、笑いながらそう呟く。
……みんな酷いけれど、みんな笑ってくれたからよかった。
私は電車が動き出すのと同時に、小さく俯いた。
——五分間の無言が続き、市内に到着。
私は男子の後を続くように降り、外へと向かった。
ふわっと冷たい風が髪を揺らし、私は思わず目を細める。
「——んじゃ、解散?」
「水城だけ家あっちだよな」
「あ、ああ、うん」
村野にそう言われ、私は思わず頷く。
そうだ、私だけ家が遠いんだ。
ここから歩きだと思うと、気が遠くなるが仕方ない。
そう思っていると、
「……あ、村野は水城さんのボディガードしたいみたいだよ」
孝仁が私に向かって、そう小さく笑った。
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