コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: I find you 〜本当の恋〜【お客様お待ちしてます♪】 ( No.60 )
- 日時: 2013/09/21 20:50
- 名前: あちこ (ID: mnvJJNll)
*第15章トラウマ*(side晴希)
気をきかせろ何て…祐介が馬鹿なこと言うから
俺と奈津は来たとこなのにもう帰る事になった。
「ほら晴希、帰るよー?」
玄関で奈津が俺を呼んでいる。
「んー、今行く」
おれはそう言って奈津の方へと向かう。
…が、祐介が俺を軽く呼び止めてきた。
「なあ…晴希!」
「ん?何、お前だって今日くらいは結衣と二人で居たいだろうし仕方ないから帰ってやるよ」
「…そうじゃなくて…」
なんか言いたそうな顔の祐介。
「まだなんか言いたいことあんの?」
「お前さずっとこのまま…彼女…つくんないの…?
いい加減カオリの事は忘れてっー・・・・」
「…そのことはもういいんだって。」
カオリって言葉にやたらムキになった俺は
祐介に軽く怒鳴ってた。
「何で…お前だっていつまでもそう言う訳には…」
「わかってるけど…怖いんだよ…。ごめん、もう帰るわ」
「ああ…またな」
祐介は申し訳なさそうに…淋しそうに…そう言って
結衣の待ってる部屋に戻って行った。
祐介のいってることもわかる。
俺だって彼女一生つくんないとか無理なわけだし…
………でも今はまだ傷が完治してないっていうか…。
もう、裏切られるとかあんな辛い想いしたくないって気持ちの方が
自分の中で大きい気がするんだ…。
「奈津、おまたせ!」
玄関で待ってた奈津にそう言うと、心配そうな顔で
「あ、うん!帰ろっか」と言ってきた。
…多分奈津はなんとなく俺が祐介としてたさっきの話が
聞こえてたんだと思う。
だからこんなにも心配そうな顔で俺を見てるんだ…。
「おじゃましましたーっ」
奈津に続いて俺も小さな声で後に続く。
祐介の家を出ても奈津は
心配そうな顔を辞めることはなかった。
…だけどいつまでたっても奈津は俺に何も聞いてこなかった。
もちろん自分から言う訳もなく
奈津から聞いて欲しいわけも無かった。
だけど、奈津は何で聞いてこないのか…?
そんなこと本当はこの何ヶ月か
一緒に居た俺らなら嫌でもわかる。
奈津は気が利くやつでもありー・・・・勘の効くやつだ。
だからきっとあいつは、俺に何があったのか聞いてはいけないと
判断したんだろう………。
「ねえ、晴希?私の家こっちだけど…晴希そっちだよね??」
「ん?…あ、あぁ、うん」
「…家帰っていっぱい寝なさいっ!んで、早く元気になりなさい! ー・・・わかりましたかー??」
奈津が俺に指をさしながらそう言った。
奈津なりに心配して言ってくれてることは、
言われなくてもわかっていた。
「ん、りょーかい。…なんかごめんな?」
「謝んなくていいよ?…その代わり、早く元気になってね?」
「ん、サンキュ」
そう言うと、奈津は笑顔で帰って行った。
「ホント、あいつっていい奴…」
思わず口からこぼれた本音。
カオリに出会う前に奈津と出会ってたら…
もしかしたらなんか…かわってたりしてたんだろうか。
なんて馬鹿なこと考えてたら電話がかかってきた。
プルルルルーーー・・・・・
だれだよ…?
090-2345-xxxx…知らない番号…。
俺はためらいながら電話にでた。
「もしもし?…誰?」
「あたしだよ…晴希??」
ーーーー!!!
その一言で…電話の相手がすぐに分かった。
昔、毎晩のように電話越しに聞いていた…カオリの声…。
一瞬耳を疑ったけど…
この、ちょっと高めの細い声は……
あの頃と変わらない……カオリの声だった。
「…何?てか何で俺の番号知ってんの?」
「ちょっと…そんな怖い声で聞かないでよ。
番号はね、店長に無理言って教えてもらったんだー。
同じ学校のクラスメイトだし、特別にって。」
店長は俺がカオリの過去を知らない。
だから、特に仲が悪いなんて知る由もなかったんだろう。
同じシフトで入る事も多い俺らが携帯の電話番号も
知らないってなるといざって時に困ったりもする。
そんなことも考えて店長はカオリに俺らの番号を教えたんだと思う。
決して、軽い気持ちで教えたわけじゃない……
…頭の中ではわかってんのに、なぜかモヤモヤした。
「でね、私ね、晴希に話あるんだぁー」
「…何?今更カオリと話すことなんかねぇーよ?」
カオリの甘ったるい喋り方に
いちいち記憶と心が反応して俺をイライラさせた。
「冷たいなぁ…確かにあん時の事は悪かったと思ってるよ?でもさぁ、まだ彼女作んないって事は…まだ傷ついてるって事??
私が言うのもへんだけど…彼女欲しくないの?」
こいつはどれだけ俺を苦しめたいんだろうか…。
本当に最低な女だと改めて思った。
「…誰のせいで作れねぇか…わかんない?」
「どうせ私のせいだよね?…でもさ、本当に私のせいだけ?」
…今度は逆ギレしだしたか…?
「だってさーもうあれからすっごく時間が経ってるんだ
よ??いくらなんでもー・・・・」
「黙れよ」
「えっー・・・」
さすがのカオリもちょっと焦っていた。
そりゃそうだと思う。
だって普段"黙れ"なんて言わない俺が…女に向かって言ったんだから。
「…そんな話するためならもうかけてくんな」
「待って!!!」
電話を切ろうとすると、カオリが慌ててそう言った。
「あのさ…晴希って…奈津の事、好きなの?」
「そんな事までいちいちお前に言わなきゃいけないの?」
「だってー…わざわざバイト先まで迎えに来る?」
今日の…見てたのか…。
「奈津は晴希の事、好きなんじゃないの?
付き合う気も無いのに優しくするなんて…私より酷いと
思うけどなぁー」
こいつは本当に何がしたいんだろう…。
本当に分からなかった。
「何が言いたいの?」
「んーだからさっ?もう、あんまり奈津に優しくしないでって事!」
「奈津の事…心配して言ってー・・・」
「んなわけないじゃん。奈津とは一人にならないように一緒にいるようなもんだし。」
「お前っっっー・・・」
「何?最低な女とでも言いたい?晴希だって付き合う気も
無いのに奈津の事あんな風に期待させてばっかなんじゃ
ないのー?」
…たしかに奈津にはついつい優しくしてしまうし、
危なっかしくてほおっておけないから、
ついつい世話を焼いてしまう事も多い。
「友達に優しくしてて何が悪いっていうんだよ」
「気に入らないんだよ…晴希が私以外の子にあんな風に
優しくしたりしてるとこ見んの。」
何なんだよ…こいつ。
「何、今更…俺のことなんてハナから興味ねぇくせに。
俺がどうしようとお前には関係ない」
「関係ないけど、このままだと奈津は傷つくよね?」
「・・・・・・。」
ムカつくけどカオリの言うことも
ちょっとは当たってる。
「ま、今日はもう切るね。また話そうねっ?じゃあ」
「あっ、おいっ!?」
「ーーーーーーーーー・・・・・」
カオリはそれだけ言って一方的に電話を切った。
もう、電話は切れたハズなのに…イライラする。
ちょっと話しただけなのに…手が震えてる…。
あの日の事が全部…一瞬にして頭によぎる………。
「くそっっーーーー」
俺はもうあの日のことを忘れきったはずなのに…
頭では『忘れた』のにー・・・・
心ん中では嫌って位に『覚えてた』んだ………。