コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 氷 ( No.102 )
日時: 2013/09/21 18:26
名前: 氷麗 (ID: tRamSAT8)

ふぅ…

とりあえず一息つくと上を見上げた。

青く、広く、清らかな空がまるで私を嘲笑うかのようにそこにあった。

ぼぅ〜と空を見て目をつぶった。
気持ちの整理をしていた。

「九条さん?」

目をあけるとそこにいたのはお弁当を持った眼鏡をかけた男子だ。

「誰…?」

確かクラスメートだったはず…

「えっ!一応クラスメートなんだけどな…宮原リクオ。」

「っで何の用だ?」

「僕いつもここでお弁当食べてるんだ…」

そういえばそうだったかも知れない。

「そうか、済まない。悪いがここにいてもいいか?」

この私を嘲笑うような空も見ている分には綺麗で申し分ない。

気持ちも少しは落ち着いたのでまた眺めることにした。

「綺麗…」

「そういえば席近いのに1対1では話したことなかったね。」

そういいながら弁当を開けていた。

中を覗き込むととても色鮮やかな弁当だ。
アスパラの牛肉巻や肉だんご、チキンのチューリップにタコの形をしたウインナーそれにサラダまでちゃんと付いている。

「九条さんお弁当は?」

弁当は教室に置いてある。雫が持っているのだ。

お互い他人のふりをしようと決めたが今朝はバタバタしていて忘れてしまったのだ。

「いや…ちょっと…」

答えをはぐらかそうと努力していると急に屋上の扉が開いた。

雫が私を探しに来たのだ。

「頼む!!雫に私がここにいるって言わないで!!」

返事を聞く間もなく貯水タンクの陰に回り込みいざという時に屋上から逃げられるように構えた。

「宮原、望…九条を見なかったか?」

驚いた。
今日登校したばかりなのにクラスメートの名前を覚えていたからだ。

「ううん、見てない。どうかしたの?」

「それが弁当を置いていってしまったのだ…全く…」

きっとその理由は雫には理解できないでしょうね。

陰で私がこんなに苦しんでいる事も。

雫が出ていくのを私は何も言わずに見守っていた。