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Re: 氷 ( No.512 )
日時: 2013/10/06 12:43
名前: 氷麗 (ID: PvE9VyUX)

>>504

〜・55章 病院・〜
「ここは常盤台生が入院してる病院。皆例の爆破事件で怪我したの。
入院してる人は皆まだ意識を取り戻してない。」

キョトンとしている楽に事情を話す。

意識がある人はもう全員退院している。

「実は言うとここに来るのは初めてなの…
もうあれほどの時間がたったのに…見舞いの1度にも来てない。」

自然と声が小さくなる。今までずっと隠してた胸の内。

「どうして…」

「なんでって言うとね…怖かったんだ。私のせいでこんなに怪我をさせちゃって…
それを目の当たりにするのも…彼女達に責められるのも怖かった。
彼女達が私を責めるのは当然のことで…でもそれが怖かった。
…私のせいでこんな怪我をさせたのも付きつけられるのが怖かった。」

「お前なら能力を使えば…」

確かに能力を使えばすぐにでも目を覚まさせることができる。

でも…

「駄目なんだよ。私の能力は今とても不安定なの。だから彼女達には使わない。
これ以上酷くなったら命だって落としかねない。
だから…今の私にできるのは…祈るだけ。」

最後の方になると声が震えていた。

上条の表情をうかがう。

「ガッカリした?いくらLEVEL5とかデュアルスキルとか騒がれても所詮…
皆を傷つけて…なのに私は傷1つ負ってない。そんなのおかしいじゃない。」

でも…少しは…楽になった気がする。

「今日はありがとね。楽が一緒じゃなかったら私、また逃げてた。
また自分の問題と向き合えないままだった。
目の当たりにするのはまだちょっときついかもしれないけど彼女達に責められてもちゃんと受けとめる。
だって私のせいだから。責められても仕方ないもの。」

笑ったが自然と苦笑いになった。

「なんかお前がそんな風に悩んでるの見るのは新鮮だな。」

「なっ…」

「お前らしくないなと思って。
お前はいつも人のために頑張ってるじゃねぇか。今回のことはしょうがないと思う。
あいつらだって別にお前を責めたりしないと思うぜ。
お前だってこうなると分かってた訳じゃないんだろ?」

「なんで…」

「お前はあいつらの目標だ。
お前がへこんでる所なんか見たくないだろ。」

・・・お前がへこんでる所なんて見たくないだろ・・・

その言葉がなぜか懐かしい。

誰かの口から聞いたような…そんな気がした。