コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 氷 ( No.65 )
- 日時: 2013/09/19 18:05
- 名前: 氷麗 (ID: fph0n3nQ)
「これだけの報酬を見せれば文句は無かろう。」
少し言いすぎたな。だが事実だ。
「今日は疲れた、もう休む。この後俺の部屋には近づくな。」
その日はそれっきり雫と言葉を交わさなかった。
「つまらない。なにもない日などなにが楽しいのか。」
それからしばらくして私は学校をやめた。
学校をやめてから主に会いに行くのもやめ、
どこか色々な所をフラフラ出歩くようになった。
つくづく嫌になる。
こんな私がいることが。
「望実!!一体何処に行っていたのだ!!!」
バレたか…流石に雫には分かっちゃうか…
「今日は甘味処に行ってきた。」
「何で…」
「つまらない。世界が。」
「…黙っていなくなるな、どれだけ心配したと思っているんだ。」
「知らん。頼んだ覚えもない。」
「約束してくれ、黙っていなくならないと。」
「分からない…が、頭には入れておく。」
そう言って部屋に戻った。
それきり今夜は部屋から出なかった。
それから2日後雫にこう言われた。
「明日は出かけるな。」
理由を聞き返すと
「ともかく出かけるな。」
と告げられた。
その次の日朝から私は飯も食べず出かけてしまった。
色々な所をさまよい歩いていて夜になった。
気付くと雫と一緒に来た遊園地の中にいた。
入場券などはどうしたのだろう。
そう思ってポケットをみると中にきちんと入っていた。
気付かぬ間に買っていたらしい。
もう以前の真夜中の遊園地の脱出ゲームはやっていないみたいでもう夜遅くなのにまだ一応やっている。
それでももう夜7時を回っているのでそろそろ閉まってしまう。
観覧車だけでも乗って行こう。
そう思い観覧車乗り場へと歩を進めたのだった。
そろそろと上へ昇って行く観覧車を私は好きだ。
またここに雫と来たいな…
そう思った矢先観覧車の扉はどんどんと音を立てた。
私は鳥でもぶつかったのだろうと扉には目を向けなかったがやがて乱暴な音を立てて扉が開いた。
雫だ。
「よく…ここが分かったな。」
「別に。今日一日行ける範囲、今まで来たことがある場所。
大体当たってきたからな。まぁここに来たのは偶然だが。」
「というよりかお前は下界ではあの町かここしか出入りしたことがなかったな。私がいた時は。」
はぁとため息一つ吐くと再び窓に目をやった。
どうして今日に限ってこんなに必死なのだろう。
そう思ったが口にするのはやめた。
雫が私の腕をつかんだ。
「すぐ帰るぞ。」
「何故だ?」
雫は何も答えなかった。
「用がないなら帰ってくれ。」
最近気分がすぐれない。
何だ?この感覚は。
「今だけはお前の命令に背かせてもらう。」
雫がそう口にした。