コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 氷 ( No.79 )
- 日時: 2013/09/19 19:08
- 名前: 氷麗 (ID: fph0n3nQ)
激痛が体を流れた。
しばらくすると体がふわっと浮いたように感じた。
体から魂が離れたのだ。
死装束を身につけている。
私の目の前に元の体がある。
私が次の体に移るまでは体の主導権は元の持ち主に戻ることはないそうだ。有り難い。
新しい体は元の体のすぐ隣に並べられている。
私は新しい体と同じ体勢をするとすぐに体の中に入っていった。
目をあけると雫と蓮華が私の顔をのぞき込んでいた。
「これが…新しい体…」
そう言って腕を見た。
前の体よりかは少し白く、細いようだ。
元の体に目をやるとその体はもう私の知っている体ではなくなっていた。
かけていた術が解けたのだろう。
蓮華が鏡を持ってきたのでそれを覗き込むと以前と大差変わらない顔をしていた。
違っているのは肌の色と髪の長さ、後爪がのびているくらいだ。
でもこれは大昔の私の姿をもとにしているので構わない。
今まで転生によって肌の色などが変わってしまっていたのだ。
今回は私が人の体を作ったので昔の私の姿を雫の意見をもとに再現できた。
次の転生にはもっと昔の姿に近づけたらいいな。
「でも気を付けてよ、望実さん。
転生したては何が起きるか分からないから。
突然トラウマが甦ったり記憶を失ったり。今回は初めてやる儀式だし。
あんたがやり方覚えていればそんな心配もないだろうにね。」
「分かった。」
声も少し変わっている。
「次の転生はいつになる?」
「さぁ?」
「さぁって…」
「ただ転生前になると色々体に不具合が生じるそうよ。
今から次の体の準備しときゃ問題ないでしょう。
それとしばらくは体動かしずらいから自分でどうにかしなさい。
元の体はどうする?」
いい加減な奴だ。
まるで他人事みたいに…他人事だけど…
「元の体の持ち主の目が覚める前に久我家に連れて行こうかと。
私が見送る。私が見送らなくちゃいけないだろうから。
あの子はもう貴族やら神の供物なんてものに縛られないただの幸せな女の子なんだから。
あの男もこの子のために貴族を抜ける覚悟もあるし問題ないだろう。」
「そうか…」
その声を最後に目を閉じた。
もう疲れ切っていたのだ。