コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 怪盗ユア-満月の夜はBad Night- ( No.8 )
日時: 2013/09/25 16:37
名前: 本間あるる ◆uQ8sUBcURw (ID: DboXPOuE)







ザ、立場逆転。

さっきとは打って変わっての少女の憤りに、男性の顔から血の気が一気に失せる。

「あ、あれは向こうが悪いんだよ、……ほら、ユアをせっかく立派な怪盗にしてやろうと、だねえ。私がなけなしの力を振り絞ってだよ? こう、頑張ってたのに、だな。あいつ(ママさん)はなんていったと思う……?」
「『この子は女の子でしょ! ふざけないで頂戴!』……だっけ? そんなのもう耳にイカが出来るくらい聞かされたっての!」

「タコだろ」
「うっさい! 口ごたえしないっ!」

「本当のことを言っただけなんだけど……」

「うっさい! 黙っててっ!……で? そんでもって夫婦喧嘩して?」
「向こうから勝手にけしかけてきたんだよ……」

「だからそんなこと聞いてないっての! ……挙句の果てにママさんに愛想つかされて、翌朝起きたらママさん直筆で『実家に帰ります』って置手紙があって?」
「あー……あれは人生で一番のドッキリだったよ、ウン」
「私にとってもドッキリだったわ! ……ったく……。未だにママさんからは何の連絡もないし、パパさんはパパさんでこんなだし……」
「す、すまない」
「すまないで済んだら警察はいらーん!」

どっかーん。
ついに少女の怒りは沸点に達した模様。


「なんなのなんなの?! この可愛いユアちゃんの人生棒に振りやがってこのボケタンオタンコナスっ! それでも父親?! もおーっ知らないっ。今日の朝食もパパさんが作ってよね。フンだっ」

そろそろ朝靄あさもやがかかり始める中、少女は捨て台詞を吐き捨て、どすどす足を踏み鳴らして誰もいない街を怪獣のごとく自宅に向かって闊歩するのだった。





さて、言いたい放題言われ、ぼんやりとその場に立ち尽くしていた男性は、

「これだから……これだから女性は、大っ嫌いなんだあああー!」


情けない声をあげ、挙句、『朝から近所迷惑』だと近くの住民からの苦情を受けて警察にお世話になったのは、男性、果たしてこれで何度目だろうか……。


【序章、完了。】