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 魔王が勇者から世界を救う ( No.50 )
日時: 2014/01/05 21:39
名前: 黄 (ID: C8C8SSAY)

ステージ29「見えた」

「あーくそ……結局ついてきてるし」
俺は肩を落としながら次の村に向けて歩く。
「そんなこといって〜本当は嬉しいくせにっ!」
「……あ?」
「はい、すみませんでした〜」
ってたく……イチイチイラつくやつだなこいつは……
数時間前、ミハエルが旅に同行してくることになってしまい、俺は非常に不機嫌だ。いや、自分で不機嫌だって言うのもおかしいが。
俺は頭をきりかえるために行動に出る。
「じいや、次はどんなところだ?」
「次はですね、宿に一度泊まります。で、行く場所は聞くところ、勇者ギルドがつくられてるそうですぞ」
「ほう……そこは勇者どもに占められてるのか?」
「そうですな……今回は相当大変なところになりそうですぞ」
「はっ!大変もなにもないだろ?全員ぶちのめす!」
俺は次の村での戦闘を思い浮かべながら歩く。
楽しみが増えたなぁ!
しかし、疑問が一つ浮かぶ。
「途中で泊まる宿はどんなところなんだ?」
「その情報ないですね……」
使えないやつめ……
俺は心の中で毒づき、宿はどんなところかを想像しようとしたとき
「あ、それなら僕知ってるよー」
「おおっ!連れてきて正解だったかもな!」
「あはっ!でしょでしょ〜。で、その宿は温泉に入れることが有名らしいよ」
温泉……か!それもそれでよしだな!しかし、これでは魔王の恐ろしさを知らしめるために旅をしてるのに、まるで旅行みたいだな……
「そうですね、魔王様、旅行みたいですねぇ」
「だよな……って、おいっ!!」
「はい?」
「なんで俺の心よめるんだよ!」
おかしい!こいつおかしい!創ったやつは俺だけど、何かおかしい!!
「一応魔法使いですし、ちなみにさっき『使えないな……』って思ったことも知ってます」
「はぃぃ!?そんな設定してないよ!?」
俺が驚いていると、ミハエルが突如とんでもないことを言う。
つか、毒づいたことばれてるし!
「あれ?知らないの?じいやさんは闇魔法の賢者級だよ?」
なんでお前がそんなの知ってるんだよ!
心の中でミハエルにツッコミをいれ、冷静さを保ち、じいやに質問をする。
「まぁ、どーだっていいです。それよりも、まだ宿にはつかないのか?」
あの村からでて、計五時間は歩いていたのだ。
「そうですね、もうすぐのはずですが……ほら、見えてきましたぞ」
じいや、前方を指でさして、その宿の場所を示す。
「おおー!」
俺が歓喜をあげているとき、その宿からある人物が出ていくのが見えた。

見えるべきではないヤツが見えてしまった。

「魔王様?魔王様ー!」
俺が硬直してしまい、じいやが俺を呼ぶのにも答えられない。
そして俺はなんとか口を動かし、ミハエル問う。
「ミハエル……見えたか?」
ミハエルも硬直してしまっているのだろうか、声は震えていた。いや、硬直してしまったからではない、あり得ないもの見てしまい、恐怖しているのだろう。
「あ、ああ……アイツだ」
じいやは、俺たちを不思議がり、そして問う。
「二人とも誰が見えたんですか?」
じいやは、杖を手で回しながら質問をしてきたため、俺は答えると前に折った。
「あああっ!なにするんですかっ!特注品なんですよ!!」

「あの勇者が見えたんだよっ……!!」

沈黙がながら、そしてじいやは叫ぶ。



「ええええええっっ!?」