コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

清川 準一【過去編】 ( No.31 )
日時: 2014/10/01 00:40
名前: ゴマ猫 (ID: /..WfHud)

「準一、待ってろよ〜。今日は父さんがデカいツリー買ってきてやるからな」

「うん!!」

 まだ朝早い12月、僕は頑張って早起きをして食卓に座っている。いつもならまだ寝ている時間だけど、頑張って起きた理由はお父さんと話すため。そう、今日はクリスマスだからだ。
 お父さんはクリスマスに部屋の天井に届くくらいのツリーを買って帰ってくると僕に言った。
でも、僕はどんなプレゼントよりお父さんと一緒に過ごせるクリスマスという事が嬉しかった。いつも仕事で帰ってくるのは夜遅く、出かけるのは朝早い。遊んでもらった事なんて数えるほどしかない。

「良かったわね〜、準一。ちゃんと良い子にして待ってなきゃダメよ?」

 お母さんは穏やかな表情で僕に話しながら、朝食の支度をしている。
 この日の夕食は久しぶりに家族全員で食事ができる貴重な日、きっと僕は舞い上がっていたんだと思う。
昨日のイブは僕が起きている間にお父さんは帰ってこなかったから。

「ねぇ、良い子にしてたら本当にお父さんは今日中に帰ってきてくれるかな?」

 お父さんには聞こえないよう、声のボリュームを落としてお母さんに尋ねてみる。

「もちろんよ〜。お父さんは約束をちゃんと守る人ですもの」

 お母さんも僕にだけ聞こえるよう、少しかがんで視線を僕に合わせてそう言った。

「おいおい、2人で内緒話しか? 準一、父さんにも教えてくれ」

 お父さんはその様子を見て、肩をすくめながら僕にそう言う。

「はいはい、帰ってきたら教えてあげるから。それより、あなた急がないと遅刻よ?」

 お母さんが壁掛け時計を見ながら促すようにお父さんに言った。

「おっといけない!! じゃあ準一、行ってくるけど、良い子にしてるんだぞ?」

「うん!!」

 僕はこの時、まだ知るよしもなかったんだ。この後に起こる出来事なんて。