コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

ユキと渚【13】 ( No.42 )
日時: 2014/10/01 01:06
名前: ゴマ猫 (ID: /..WfHud)

「じ、準一が、は、犯罪者に……!?」

「違う!! これには深い訳があってな、こいつがいつもいつも夜中になると出てきて」

 俺は信じられないという表情をした渚に必死に訳を話す。幼なじみに変な誤解されたら色々と気まずい。俺はユキの肩を掴んで、俺の目の前に出し、渚に見せるようにする。

「俺は見に覚えがないんだが、そのまま放置するのも夢見が悪くてだな……って、そのあわれむような顔はやめろ」

 説明の途中で、渚はかわいそうな人を見るような視線を俺に向ける。あぁ、マジで泣けてくる。頼むからそんな顔で見ないでほしい。

「……そんなに女の子の服が欲しいなら私に言ってくれれば良かったのに」

「だから、こいつが……って渚、何の話しだ?」

 なんだか会話がかみ合ってない気がする。

「だから、準一が持ってるその女物のワンピース……つい出来心で盗んじゃったんでしょ?」

 渚はユキのワンピースを指差してそう言った。
 ——何言ってるんだ? 注目すべき点はそこじゃなくて、ユキの方だろう。

「そんな訳ないだろう。それに俺はそんな変態じゃない」

「……じゃあ、つ、付き合ってる人の……とか?」

「それも違う。ってか、こいつのだよ。こいつの」

 あらためてユキを指差して渚に訴えかけるが、渚は訝しげな表情で俺が指差したあたりを見回す。

「……その、こいつさんって人は見えないんだけど?」

「何を言ってるんだ、こんなにはっきり……!?」

 俺がそう言いかけたところで渚に言葉を制される。

「わかった、わかったよ。ワンピースが好きなら私のを持ってきてあげるから、人の物を盗っちゃだめ」

 ダメだ、全然俺の話しが通じてない。一体どうなってるんだ? これじゃまるで渚にはユキの姿が見えていないようじゃないか。

「ねぇねぇ。いつになったら私とお話ししてくれるの?」

 俺に肩を掴まれたままになっていたユキは、俺の顔を見上げるようにして問いかけてくる。

「後にしてくれ。今はそれどころじゃない」

 このままじゃ、幼なじみに『変態』という不名誉なレッテルを貼られてしまう。それだけはなんとしても避けたいところだ。

「じ、準一、服と喋る趣味があるの? …………ち、ちょっと……ご、ごめん。き、今日は一回家に帰って、頭の中を整理してくるね」

 そう言うと、渚は荷物を持ってそそくさと家を出ていってしまった。——なんかもう、今日は追いかけて説明する気力もない。俺は心の中で深いため息をついた。

「ねぇ、あの人はお友達?」

 ユキは不思議そうな表情で俺の顔を見ながら問いかけてくる。

「あぁ、幼なじみだよ。……だった、にならなきゃいいけどな」

 ——はぁ、本当に何か色々面倒くさい事になってるな。その後、状況をよくわかっていないが、俺が落ち込んでいると思われたユキに背中をさすられながら夜はふけていった。