コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

疑問【21】 ( No.75 )
日時: 2014/10/05 23:16
名前: ゴマ猫 ◆js8UTVrmmA (ID: 2CRfeSIt)

 ——その日の夜。学校が終わった後いつものようにバイトに行き、帰ってくると既に時刻は午後9時をまわっていた。

「やれやれ、こう遅くなると飯が面倒だよな」

 とは言っても、大抵牛丼かコンビニ飯の俺に面倒も何もないのだが。一人暮らしをして思った事として、炊事、洗濯、掃除とやらねばならない事が多すぎる。
炊事に関してはまぁ、言うまでもなく手抜き。洗濯はまとめて。掃除は月1。……うん。結構なだらけ具合だ。未来の世界からやってきた青いロボットの『グルメテーブルなんちゃら』が欲しい。そしたら献立に悩む事もなく、時間も短縮できるし。そんなどうしようもない想像をしながらベッドに座る。

「そういや、あいつ最近来ないよな」 

 そのまま寝そうな勢いで仰向けの体勢になり、ふと思い出した事が口から出ていた。あいつというのは、『ユキ』の事だ。
 ユキが現れた時の事は、昨日の事のように覚えている。真夜中の俺の部屋に突然現れた謎の少女。夜中に出てきて朝には消える。さらに目的もわからず、俺にしか見えないときてる。多分、これは間違いなく心霊現象的な何かなのだろう。
 最初はそう疑って、涼におインチキくさいを借りて試したりしたが効果も出ず、結局ユキに泣かれてそのままになっていた。確信したのが渚が家に来た時の事だ。あまり思い出したくないので途中省略するが、渚にはユキが見えていなかった。あの時は、それよりも黒歴史をつくってしまった事で頭がいっぱいだったのだが、今にして思えば『ユキ』が霊的な何かだと確定させる出来事だった訳だ。
 ——まぁ、だからと言って別に出てきてほしい訳ではないのだが。何か引っかかるのも事実だ。最近出てこなくなった理由……まったく想像はつかないが、成仏したと前向きな解釈で良いんだろうか?

「……あいつ、結構寂しがり屋なんだよな」

 別に心配してる訳ではない。
 心配してる訳ではないが、気にならないかといえば気にはなるのだ。まぁでも、下手の考え休むに似たりって言うしな。俺がいくら考えたところで、本人が居なきゃ答え合わせはできないのだ。

「……まっ、本人が居ても怪しいもんだけどな」

 そう言いながら、ユキの言動を思い出して小さく笑ってしまった。それと、明日は涼や渚たちと放課後に約束してるんだよな。ってか、先輩もその場の勢いに押し切られて遊ぶ約束OKしてたけど本当に良かったんだろうか? 無理してんじゃないか心配なとこだ。

「……いざとなったら、俺が強引に断ればいいか」

 そんな事を考えながら夜は更けていった。