コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.132 )
- 日時: 2013/11/26 22:16
- 名前: 雪 (ID: RGB9kNzS)
ふと手元を見るとリンの楽譜がしっかりと握られていた。
どうして池に飛び込んでまで守ろうとしたのだろうか…
マリー達には内緒にしているが実際6年前のことはあまり覚えていない。
遊んだ記憶は残っているが何かがあったであろう別れの時のことなど全く覚えていない。
思いだそうと頑張っても砂嵐が起きてすぐに分からなくなる。
ずっとそれが思い出したくて…歌を歌ってきた。
不思議と歌を歌うと今までのことが思い出せそうになったり…胸が満たされるような…幸せな気分になる。
はぁ…と再び小さくため息をつく。
「ひゃっ!」
溜め息をつくと同時に頬に熱がはしる。
「…ケイ…」
いつの間にかケイが後ろに立っていた。
熱の正体はケイが手に持っているココアのせいだろう。
「溜め息は幸せが逃げるって聞いたことない?」
そう言いながら断りもなくとなりに座ってくる。
不思議と圭やマリーと一緒にいるとどこか凄く落ち着くのだ。
「ココアとコーンポタージュ、どっちがいい?」
「コーンポタージュ。」
どちらも私の好きな飲み物だ。
「どうして分かった?」
プルタブを開けながら問いかける。
「アリス、冬はいつもココアかコーンポタージュばっかりのんでたじゃん。」
6年前もこれを飲んでいたか…
皆といると自分のことがだんだん分かっていくような気がする。
「そうだったかな…」
1口飲むだけで体がぽかぽかになる。
ほぉ…と小さく息を吐くとバサッと肩に何かが被さった。
「寒いでしょ。貸してあげるからそれ着てなよ。」
ケイの上着だ。
「あっ…でも汚れちゃう…」
「着てなよ。」
ケイの声は無理やり私の言葉を断ち切らせた。
でも決して嫌ではなかった。
「ありがとう、ケイ。」
しばらく2人の間に沈黙が流れる。
でも不思議と顔は笑っている。
一緒にいると…辛うじてしか覚えてないけど…きっと皆のことが大好きだったんだろうなって、不思議とそう思えてくる。