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Re: 秘密 ( No.145 )
日時: 2014/11/15 16:13
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

あれからアリスは特にこれと言った変化もなく、軽音部は毎日のように音楽室に集まった。

この間のコンサートの件はやはり大目玉をくらったが、演出と勘違いされたらしくそこまで大事には至らなかった。

「にしてもどうして急に熱心に練習なんか…」

「先生、私はもともと真面目ですよ?それに…」

歌声を届けたい人がいるから、とアリスは続ける。

「やっぱりどういう曲が良いかな?」

ケイの曲は皐月先生公認の出来だが、無理に頼んで曲が思いつかないのか新曲は出来ずじまい。

作曲のことはよく分からないが、人任せばかりはいけないだろう。

「ケイ…」

マリーがそう言って近づく前に、アリスがケイの近くにしゃがんだ。

「やっぱりここは、もうちょっとテンポあげた方が…」

話にはついていけない。

実は言うと、付いていくことが出来ない。

ケイとアリスの中には見えない、何かが漂っている。

自分には入ることが出来ない…なにか…

その時ふとアリスの異変に気付く。

ケイとの接し方が違う…

「まさか…アリス…」

思わず言葉に出すが、誰にもその言葉は届かない。

もしかしてアリス…

…ケイに恋をしている?

気付いてるかは知らない。

でもどこかほっとした自分がいることに気付いて、胸が痛んだ。

まだ恋をしているって、決まった訳じゃない。

そう思い、しつこく自分に言い聞かせる。

「これでいこう!!」

その時アリスの声が、小さな音楽室に響いた。