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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.172 )
- 日時: 2013/12/22 22:37
- 名前: 雪 (ID: bUg9QOGg)
テスト当日。
お互いまったく勉強はしていない。
条件は五分五分。
テストが無事に終わると胸がドキドキと高鳴る。
だが圭に勝てるはずはないと思った。
恐る恐るマリーと結果を見に行くと案の定見事に負けていた。
でも不思議と悲しくはなかった。
それどころか彼女の顔は微笑んでいた。
「不思議だな…負けたのに全然悲しくない。
それどころかずっと今までで一番嬉しいかもしれないってくらい機嫌が良いよ。」
負けることは分かっていた。
なぜならそう彼女自身が仕込んだからだ。
「わざと…手を抜きましたね、アリス。」
マリーが耳元で小さく囁く。
「ああ。だが今までで最高点を修めた。」
「常に鮮やかに勝ち誇るアリスがわざと手を抜くなんて…見物ですわね。」
ふっと小さく笑う。
「意地の悪い冗談だな。私も…随分変わったと思うよ。わざと負ける、なんて卑怯なことは。」
総合点、圭との差は歴然としてあった。
が、名前さえ書けば圭を余裕で越えた。
「名前の書き忘れで補習を免れられたことは運が良いとしか言いようは無いな。」
さてっ、と髪を払いながら軽やかに歩き出す。
「マリー、買い物に付き合ってはくれないか?」
彼女は敗者だがその表情は勝者のものだった。
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