コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.185 )
- 日時: 2014/11/15 17:18
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
不思議。
何時もなら気にならない視線も少し気になる。
マリーが圭を見ることも、アリスがリンを見ることも。
嫉妬とは不思議なものだ。
持ってきたパーカーに着替えてカレーを作る。
「野菜は…じゃがいも3つに人参1本…玉ねぎ3玉…ですか?」
ルーの裏を見ながら材料を読み上げる。
「玉ねぎは1玉で十分。」
玉ねぎを切り刻みながら目がシパシパする。
涙が溢れそうになる。
圭が遠くで薪を入れているのを確認すると、小さな声で何気ない様にマリーに話す。
「私…気付いたよ…名前呼んでもらって…」
思い出す。
あの時こよみって呼ばれた時感じたあの動悸。
「私…圭に…恋をしたんだ。」
相変わらず玉ねぎに苦戦しながら、さりげなく言ってみたが何気に恥ずかしい。
「そう…ですか…まぁ確かにケイは良い人ですもの!良いと思いますよ…」
声が落ち込んでた気がしたが、マリーの顔が見えない。
それはリンを思ってなのか…それとも…
なんて、バカなことを考えたものだ。
マリーが圭のこと好きかもなんて。
馬鹿らしくて、思わず笑った。
「?」
不思議そうな顔をするマリーに向かって、笑いながら答えた。
「ううん…なんでもない。」
私は初恋なんて信じない。
初恋の人が運命の人といのはなんて、不確かなものなのだろう。
ファーストキスが運命の人なんて限らない。
そう言ったところで私は少女漫画が嫌いだ。
まるで決まっている様に、主人公とヒロインはくっつく。
そんな簡単に想いが通じるなら…どれほど良かったか。
でも現実は上手く行くことの方が、少ないことを私は知っている。
「私、どこまでも圭が大好きなんだなって思っただけ。…それって自惚れすぎかな。」
マリーは優しく微笑んだ。
「恋って言うのは、儚くてずるくて自分勝手で…それでいて自分変えるチャンスでもあるんですよ。」
確かにそうかもね、と思うとまるで見計らったようにカレーが出来た。
当たり前のようにカレーは美味しくて、渓流下りはお開きとなった。
その夜は何事もなく終わり、お泊まり会は終わった。