コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.193 )
- 日時: 2014/01/06 18:32
- 名前: 雪 (ID: f48TOEiV)
「ずっとああだったの?」
アリスはとまどった顔をした後言葉を選ぶように考える仕草をした。
「…柳さん達のこと?」
「うん…聞くかどうかは迷っていたところだけど…どうしても気になって…」
今は土産屋。
声をかけてきたのは圭だった。
「ごめん…今の無し。」
「ううん…聞かれたことないから…ちょっと…」
迷っただけ…と彼女は小さく続けた。
それからよしっ、と小さく頷いた。
「昔の私なら…話すのを拒絶したと思う…でも…今の私なら…」
今の…光を知った私なら…
躊躇う事くらいなら出来る。
「どうかしましたか?」
会計を済ませたマリーとリンが様子がおかしいことに気付いたのか声をかけてきた。
「ううん…せっかくだからマリー達にも聞いてて欲しい。
でも今は…まだ心の準備が…着かないから…ごめん…まだ…話せない…」
とぎれとぎれ続けるその姿は暴走する直前の様だった。
ごめん…ごめん…と何度もうわごとのように続けた。
「こよみ、もうういいですわ。今は大人しく休んで下さい。」
マリーに無理やりベンチに座らされると颯爽とリンの手を掴んで走っていった。
「飲み物買ってきますわ。後のことは宜しくお願いします、圭!」
そういって圭だけを置いていった。
「あの…その…」
まどろまどろと躊躇う様に声をかけた。
「ごめんね…」
「もういいよ。その…立ち入ったこと聞いて…ごめん…」
「ううん…大丈夫。大丈夫だから…」
冷たくて硬くて誰もいないあの冷たい所…
…あそこは何処だ?
なんで…私だけ…
「っ———————————————!!」
助けて…
暴走だ。
「アリス!!っ————!?」
♪-♪-
!?
歌…
私の…私と圭の…歌…
涙が頬を伝う。
今…圭の…腕の中にいる———
はぁはぁと荒い圭の息遣いが耳元で聞こえた。
「…大丈夫だよ…こよみ…」
私の頬を伝った涙は圭の肩に落ちた。
「…ありがと…ケ…イ…」
そのままガクッと膝が折れておっ、と圭が受け止めた。
力なく立つことすらも出来なくなったアリスから安らかな寝息が聞こえた。
「全く…無防備だな…」
あまりにも軽いアリスの体を背負う。
「あら…まさかそこまでやるとは…ケイは大胆ですね♪」
いつの間にか戻ってきたマリーがからかう様に笑う。
「…からかわないでよ…」
「手伝おうか?」
「その必要はないよ。」
圭の顔は笑っていた。
背中越しに相変わらず定期的な寝息が聞こえた。
こんな可愛いアリス、他の男に見せたくないし、背負わせるなんてもってのほかだ。
そんな笑顔を浮かべながら別荘まで足を運んだ。
背中には安らかに笑顔を浮かべながら眠るアリスがいた。