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Re: 秘密 ( No.237 )
日時: 2014/02/03 10:41
名前: 雪 (ID: MikjvI8h)

「以上、軽音部でした!!」

して—時から退場すると5分ほどの休憩が入る。

「マリー、お父様と話してきなさい。」

「えっ…」

一目でうろたえていることが分かる。

「大丈夫、きっと分かってくれる。」

あの目を見れば、分かる。

「一足先に部室行ってるね。」

部室に行く間も荷物などが正直しんどかった。

マリーの荷物を手伝うと不用意に行ってしまったことを後悔した。

いつもマリーはこんなに重い荷物を持っていたのか。

部室につくと先に先客がいた。

「どうだった?アレキウス」

「…まだまだだな。」

目を見れば分かる。

「お前の仕事は用済みだろう。帰れ。」

アレキウス、お前は知らなかっただろう。

当然だ。

牢に閉じ込められていた私は歌ったことが無いのだから。

外に出てからつかんだ。

私だけの歌。

私達だけの。

牢にいた私は歌うどころか泣くことすら許されなかった。

泣くことも叫ぶことも出来ず…

「じゃあな。」

「…我が妹よ、手を出せ。」

素直に手を出すとジャラリと重い音がした。

ペンダント?

「これを渡しておこう。」

コインの形をしていて写真が入るロケットになっているようだ。

「なんだ…これは…?」

だがそれに答えず統也はとっとと部室からいなくなっていた。

全くとことん扱いづらい奴だ。

これは何だ?

これは…

「これ…アリス?」

「…違う。これは…母だ…!」

何かを慈しむようにそっとなぞる。

思い出した…

これは母が私に渡してくれたペンダントだ…

これを持っていればすぐに助けに来てくれるって。

でも…いつの間にか忘れて…

いつの間にか…

そうだ。

受け取ってすぐに没収され、その後は父の管理の下にあったと聞く。

それを気まぐれな同情で返してくれたのだ。

ぎゅっ、とペンダントを抱きしめる。

これが私達母子の絆の印。

大事な大事な印。

「ただいま。」

「マリー?どうだった…?」

あれからマリーは無事に父親と話を済ませたらしい。

私にも別邸を貸してくれると言ったそうだ。

地図まで渡してきた。

流石お金持ち。

表も裏もあるちゃんとしたお金持ち。

表だけで生きていける訳がない。

這い上がるには多少の裏稼業との関わりも必要なのだ。

「マリー、いいこと教えてあげる。」

耳元で小さく囁く。

「—————————」

「えっ?」

マリーのお父さんがそんなことをしていたなんて最初私も驚いた。

最初から勝負なんて成立していないんだ。

だって最初から白旗を上げていたんだ。

最初からマリーのこと、認めていた。

「なになに?」

「内緒!」

調べたら分かったんだ。

マリーのお父さんがItemMemberの活動にも力添えしていた。

最初からItemMemberのことも知っていたんだ。

認めていたんだ。

———マリーのお父さん、ItemMemberのコンサート見に来てたんだよ。それも毎回。

マリーのお父さんもItemMemberのファンだったのだ。

「あら、素敵なペンダントですね。」

「…有り難う!」

そういって再びギュッとペンダントを握りしめた。

「実はこれね…」