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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.262 )
- 日時: 2014/03/04 19:38
- 名前: 雪 (ID: 0Yhb0D44)
「アリス!!」
圭の声。
ずっと聞きたかった。
ここに来てから…ずっと…求めていた…
思わず覆う様に鎖を隠す。
だがそんな私に気も止めず圭は私を抱きしめた。
「…どうしてここが…?」
アレクシスか…?
「えっ…だってアリスが言ったんじゃないか。ここにいるって。」
やがて2人の体は離れた。
「私が…?」
思い当たる節は無い。
「私はずっとここにいた。だからそれは私ではない。」
「…でもあの金髪にあの顔…アリスのはずなんだけどなぁ…」
金髪に…私そっくりの顔…
思い当たる人物が1人だけいる。
「ママ…!」
私がまだ小さい頃。
牢に閉じ込められていた。
その窓から始めて母の顔を見た。
窓から手を差し伸べて私に話しかけてくれた。
顔が似ているのですぐに分かった。母だと。
本当にそっくりだった。
小さくて狭い窓。私は出ることは出来なかったけれどその時はとても嬉しかった。
私は確かケイにそう告げた。
ママは…まだ…私のことを…覚えていた…!
私はこの間まで忘れていたのに。
圭に話してようやく思い出した。
「ママ…」
来ないと思っていた。
来たら父に捕らえられてしまうから。
でもそれって…
・・・でもそれってさ…僕がアリスを救えないって思ってるからそういう結論になる訳でしょう・・・
ギュッとペンダントを握りしめる。
ママ…!
「あっ…そうそう、それとね。」
?
首をかしげていると圭はハンカチに包まれたあるものを渡した。
「君のお母さんから。誕生日プレゼント。」
そっとハンカチをめくって表れたのは…
紫色の宝石が付いた指輪だった。
「あの子に渡してくれって言われた時はよく意味が分からなかったけど…そう言う事だったんだね。」
「ママ…!!」
ギュッと指輪を握りしめた。
無意識に頬に涙が伝った。
聖なる夜の。
これ以上は無い。
素敵なプレゼント。
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