コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.266 )
- 日時: 2014/03/06 20:04
- 名前: 雪 (ID: XgYduqEk)
今の現状は何だろう。
私が暴走して…
それなのになぜ私は圭と唇を重ねているのだろう。
「…圭…?」
ようやくの思いで口を開き、圭に問いかける。
すると圭はビクリッと体を震わせ、顔を朱に染めた。
耳まだ真っ赤になっていた。
お互いへたり込み、お互い現状の理解が難しそうだった。
「…なんで…?」
頬が熱を持っている。
私もきっと顔が赤いのだろう。
無理もない。
キスなんてものに経験も縁すらもなかった。
キス。
その単語が頭に浮かびあがって更に熱が上がった様な気がした。
「…どういう意味…?」
ほろりと1筋の涙が零れた。
嬉しい。
嬉しいはずなのに…心が寒い。
「…ごめん」
圭はそう1言呟くと手枷を外した。
へたり、と腕が力なく床に就いた。
「…ごめん、圭…私…圭の想いには応えられない…!」
好きなのに。
大好きなのに。
私は圭を拒んだ。
父のこと。
母のこと。
私自身のこと。
そう言ったものを考えたら圭と一緒にはいられない。
凄く嬉しかった。
でも私は…圭と一緒にいられない…!
一緒にいたら被害が及んでしまう。
好きだからこそ。
私のことに巻き込みたくない。
ここで圭の想いに応えたらまた…今度は圭にまで…
辛い想いをさせてしまう。
「冗談だよ!冗談!!本当にアリスはつれないな〜!!」
えっ?
「僕がアリスのこと、好きだとでも思ってるの?僕たち友達でしょう。」
「…どういう事…?」
理解が出来なかった。
じゃあさっきのキスは…?
「だから〜なんか暴走止めようとして咄嗟に?ああしちゃっただけ。
だから理由は何であれごめん!!」
安堵した私がいた。
暴走を止めようとしただけで私が好きな訳じゃない。
それが分かってほっとした。
「…良かった…」
曇っていた表情が少しだけ晴れた気がした。
圭が私のこと…好きじゃなくて良かった。
私は心の底から安心した。
やっぱり今のままが良いんだ。
圭は好きだけど。
だからこそ圭を守りたい。
だから今のままで。
これで。
良かったんだ。
そう何度も良い聞かせ続けた。