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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.278 )
- 日時: 2016/04/09 00:41
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
残るのは圭のプレゼント。
けれどそれを開ける時、一瞬だけ迷いが生まれた。
圭は親にも恵まれ、特に影らしい影を見たことが無い。
私と違って。
普通なのに。
でも。
私のことを理解しようとしてくれる。
「これ…」
ぬいぐるみ。
小さくて真っ白なウサギのぬいぐるみ。
首には赤くて細いリボンが結ばれ、鈴が付いている。
「…こどもっぽい…」
「全く!これだから乙女心の分からない殿方は嫌なんですよ。」
「ちょっ…君たちに言われたくないよ!」
…
3人の声を聞きながらじっと見つめていた。
表情も読めないが可愛らしい。
それを3人が見ていたのに気付き慌てて手を離した。
「アリスってこう見えて子供っぽいもの好きだからね…」
「あらあら…」
「餓鬼…」
「ちょっ…!?」
何故だろう。
教えたこともないのに。
私のことを知っている。
辛いことがあると何時も傍にいる。
下手な同情をする訳でもなく。
慰める訳でもなく。
傍にいてくれる。
「…ありがと、お前達。」
小さな感謝の声。
それを聞いて3人がにやりと笑った。
それに気付いて否定する。
下らないことで。
笑ったり。
泣いたり。
喜びあったりすることが出来る。
そういった関係がとても尊い。
それを常々実感する日々。
だからこそ怖い。
この儚い日常が壊れることが。
皆と出会って。
私は恐れを知った。
それが父の道具として生きるには不便なことこの上ない。
不要なものである。
だが…1人の人間としては。
儚くて希少なものである。
さてはて私はどちらに傾くのだろう。
道具か、人間か。
ポケットの中で携帯が震えた。
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