コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.290 )
- 日時: 2016/05/12 22:47
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「私、神社の本殿の方に新年の挨拶をしてきますが、皆様方どうします?」
「暇だし…ついてく。」
人も多くてくじも出来ないし、絵馬も出来ない。
することもないので仕方なしに神社に向かう。
「思ったけどここってあの公園と結構離れたところにあるよね。」
あの秘密基地の公園の名前…涼風公園。
そして今いるここは涼風神社。
屋敷から歩いて10分ほど。
けれど基地からなら15分はかかる。
「涼風という場所が広いのか…それとも…」
少し首をひねって考える。
この辺の地理、天気。
昔は落雷が多かったらしい。
けれど山を切り崩してからはほとんど無くなったらしいが…
学校は涼風という名前。
それに合わせて場所も涼風というところ。
けれどここは地図上かろうじて涼風だ。
しかし涼風は数年前に拡大されている。
「あそこは度々台風などに見舞われ、社が破壊されていた。
それを見兼ねた人々は再建しようと思い立った。しかし近くには家や学校が既に立っていた。
故にこんなに離れたところに出来た、ってところかな?」
「そうなの?」
ただの憶測だが。
「根拠は特に無い。」
こう言った理屈を考えるのは趣味だ。
そう言った癖などから答えを導き出した。
「どうやら…その通りの様だが…」
リンが涼風神社の歴史を記した看板を見てそうつぶやく。
「マリーの持って来てくれた本のお陰だよ。それよりか、もう入るからシャキッとしろよ。」
大方当たる。
私の知識と参照すれば大抵のことは当たる。
「夜分、失礼いたします。」
戸を開けると中には沢山の人達が右往左往していた。
「灘万里花と申します。今夜は灘家の看板を背負って新年のご挨拶に参りました。」
ああ…灘さんのところの…と納得すると私達を中に招いた。
広間につくとマリーは深々と頭を下げた。
「今年も何とぞよろしくお願いします。これ、つまらないものですが。」
「毎年お疲れです。こちらこそ…何卒よろしくお願いします。」
「では、あまり長いしてはご迷惑になるでしょう。そろそろお引き取りいたします。これからも涼風神社様の繁盛を祈っております。」
「あっ…そうです!皆さまもうくじは引かれましたか?」
それから色々くどくどと言ったが結局はくじと絵馬を無料でやっていかないかと言ったことだ。
引くだけ引いて書くだけ書いた。
「大事なものを失わない様に。」
それが私のお願い。
くじを見ると凶と大きく描かれていた。
「新年早々めでたくないな…」
と、アレクシスに大きく溜め息を吐かれた。
はぁ…と小さく溜め息をつく。
ふとその瞬間に背筋に震えが走った。
振り返ると懐かしくも危ない残り香がした様な気がした。
「…気のせいか…?」
けれどその寒気は収まらなかった。
そんなアリスの姿を意地悪く笑いながら見つめている女がいた。
彼女の名前はエリス=ベクレル。
ふっ、と微笑むとその金色に輝く髪を残して人ごみに紛れて…消えた—————————