コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 秘密 ( No.294 )
日時: 2014/03/22 20:03
名前: 雪 (ID: FuKHJlgI)

「エリスは私のことが嫌いだった。」

「えっ?」

ジャンクフード店からの帰り道。

静寂に包まれていたその時ふと口を開いた。

「約束だからな…エリスは私とは真逆の存在。
表で情報を収集し、私の判断を仰いで攪乱させた。身体能力と格闘技術はかなり高い。」

真逆。

私と違って外の世界に立っている。

けれど…

だからこそ…

「彼女は決まりきった生き方を呪い、精一杯あがいていた。ずっと何時かは父を裏切る気でいた。
私とは裏腹に自分だけの生き方を求めていた。それは広い世界を見ていたせいかもしれない。」

でも私はずっと牢の中にいた。

外の世界の眩しさも。

温かさも。

知る訳が無かった。

でもそれをもどかしく思ったのだろうか。

やることは逆でも境遇は似ている者として。

死のうとしている私を嫌っていた。

「だから私のことを殺したいほど嫌っていた。
そこには似ている私を自分と認識していたのかもしれない。」

でも私にとって。

エリスの考え方に全く賛成は出来なかった。

パーティーやそう言ったものに出場して。

色んな人を見て。

色んな生き方を見た。

エリスと違って。

牢の中で。

退屈と、苦痛と、書物に埋もれる日々。

世界への憧れも持たず、何もせず。

生きているのに、死んでいるような日々。

「だから私は最初エリスを危険人物として見ていた。
けれど今の彼女は私を仲間とみなした、それだけだよ。」

仲間とみなすくせに監視カメラに細工するなんて…と思う。

「今の私は生きようと共に足掻く仲間、そう言った認識なのだろう。」

似てるけど。

似てない。

そんな私達がようやく同じ立場に立った。