コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.317 )
- 日時: 2014/04/07 16:05
- 名前: 雪 (ID: m8MaC.Dk)
神社は大きくて巡るのは楽しかった。
けれどなによりの醍醐味はその周りにあるお店だ。
参拝客を目当てとする店がわんさか並んでいて、ソフトクリームやお煎餅、お土産センターまであった。
正直言うとホテルよりお土産の品ぞろえはものすごくいい。
昨日見てまわった、ホテルのお土産コーナーではロクなものがなくてあったのは耳かきやお漬物というご老人向けのものばかりだった。
もっともこいつら差し置いてプレゼントを挙げる人などいないのだが。
季節外れのソフトクリームをエリスにせがまれて、奢ると次から次へとひっかきまわされた。
どうやら財布を持っていないらしく、何を買うにも支払いはすべて私だった。
考えると私も世に放たれた時は何1つ荷物は持っていなかった。
お金だってバイトを重ねて、ItemMemberをやって、ようやく貯めて来れた。
別宅に移ってからは全部やめた。
全く仕事に出ないバイトを雇うのも大変だろうし、上司は皆肩をなでおろした。
親戚たちにお金は相変わらず返し続けている。
だが家賃を払わなくなったし、学費も休学届を出している分は払わなくていいのでかなり楽だ。
進級の為に3分の2は出席する様にしているが、1学期分の学費が浮くだけでも凄い楽になる。
後は別宅でごろごろダラダラ日がな毎日を過ごしている。
ご飯も3人が持ってくるから基本外には出ない。
「エリスもItemMemberに入るか?」
「入るに決まってる☆」
即答だった。
その早さには圧倒されつつもなんだかあの3人に被って少し胸が温まった。
「稼ぎたいのもそうなんだけどー歌って嫌いじゃないしー、楽しそーだし☆」
この町に来たとは言え、彼女も結局は囚われの身。
彼女も外出許可がいるかは知らないが、私は必要なのだ。
お土産センターではこの土地の名産物であろうものが所狭しと並んでいた。
ストラップも豊富だし、お菓子も沢山ある。
その1つ1つを値踏みする様に見ているとあるぬいぐるみが目にとまった。
「これ…」
圭が私に買ってくれたウサギと瓜二つ。
というか全く同じものだ。
きっとどこにでも売っている何の変哲のないウサギだろうが私にとってそれは特別に映った。
やがて集合時間となり、エリスとともに膨大のお土産を持ってバスに乗り込む。
楽しみにしていたスキースクールもいよいよ幕を下ろした。